三菱一号館美術館「ワシントン・ナショナル・ギャラリー展 ~アメリカ合衆国が誇る印象派コレクションから」

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[text and photo by 空丹 久美] 2015/2/20 UP

 ワシントン・ナショナル・ギャラリーとは,アメリカで数少ない国立の美術館である。ナショナル・ギャラリーで飾られている美術品のほとんどは民間から寄贈されたものである。

 三菱一号館美術館で開催されている「ワシントン・ナショナル・ギャラリー展 ~アメリカ合衆国が誇る印象派コレクションから」では,エイルサ・メロン・ブルースが自宅に飾るために購入し,後にワシントン・ナショナル・ギャラリーへ寄贈した印象派の絵画を中心に展示されている。

 エイルサとは,ナショナル・ギャラリーの創始者であるアンドリュー・W・メロンの娘で,激動の人生を送った女性である。美しい印象派の絵画とともに,エイルサの一面も知ることができるだろう。

公式HP: http://mimt.jp/nga/
会  場三菱一号館美術館
会  期: 2015年2月7日(土)~5月24日(日)
時  間: 10:00~18:00(祝日・振替休日除く金曜のみ20:00まで)
※入館は閉館30分前まで

 

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 印象派の中でも,屋外の何気ない風景が描かれている絵画が飾られている。生い茂る木々の中働く人々。絵画の中の世界は穏やかで優しい時間が過ぎている。病気しがちだったエイルサは絵画の中の世界に思いをはせていたのではないだろうか。

 

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 日本で展示されるのは珍しい,ウジェーヌ・ブーダンの作品も見ることができる。「オンフルール港の祭り」では船上の風にたなびく色とりどりの旗が,祭りの華々しさを演出している。祭りに参加している人々も華やかな衣装を身にまとい,盛大に開催されていることを物語っている。見学者たちにも幸福感が伝わってくるようである。

 

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 競馬の様子を描いた作品もある。マネの「競馬のレース」では,小さなキャンパス中で生き生きと走る馬の様子が描かれている。砂を巻き上げながら走っている様子は,まるでそのまま馬が小さいキャンパスの中から飛び出してくるのではないかという迫力がある。

 

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 印象派の画家たちがごく身近な人を対象に描いた絵画も展示されている。ルノワールの「猫を抱く女性」では包み込むように猫を抱きかかえている女性が描かれている。陶器のようななめらかな肌と猫を見守る優しい表情が,見学者たちに安心感を抱かせてくれるようだ。

 

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 暖炉のような装飾の上に,モリゾの「窓辺にいる画家の姉」が飾られている。描かれている女性はモリゾの姉だ。部屋の装飾と相まって,姉の気高さを感じさせる作品だ。画家の道から結婚という道を選んだモリゾの姉の姿に,一時期結婚というものに縛られていたエイルサは自身の姿を重ねたのだろうか。

 

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 マネが描いた,身近な人のペットの絵画もある。ペットの愛らしさや毛並の良さが描かれている。今にもしっぽを振り,駆け寄ってきそうな愛らしさとリアリティで,思わず抱きかかえたくなってしまうほどだ。エイルサもこの絵画を見てきっと癒されたのだろう。

 

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 印象派の画家たちの自画像も飾られている。凛々しい表情をした人物たちは見学者たちに力強い目線を送ってくる。自画像を友人に送ったという珍しいエピソードもあり,描いた背景や印象派の画家たちの強いつながりを知ることができる。

 

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  印象派の画家たちが描いた静物画も展示されている。巨大なバターの塊を描いた絵画は,アントワーヌ・ヴォロンの作品である。日常ではお目にかかれないようなバターの塊の迫力に圧倒されつつも,とろけるような滑らかさに美しさを感じることだろう。

 

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  ボナールやヴュイヤールといった,これまた日本では珍しい画家の作品も展示されている。ボナールの「革命記念日のパリ,パルマ街」では,パリの国旗や歩いている人の服が鮮やかに描かれていて,街全体で革命記念日を盛り上げている様子が想像できる。

 

 


  落ち着いていて品がある美術館の中に,エイルサのコレクションの絵画があり,まるでエイルサの屋敷に訪れたかのような感覚になった。エイルサはどういう人物でどんな感性を持っていたのかを知ることができる展示会となっている。印象派の絵画の美しさとともに,18世紀激動の人生を歩み印象派に魅入られたひとりの女性に思いをはせることができる,貴重な機会だった。ぜひ本展示に足を運んでみてはいかがだろうか。

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