東京都美術館「新印象派-光と色のドラマ」展

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[text and photo by 空丹 久美] 2015/1/28 UP

 光るブロックに囲まれて浮かび上がる本展示のタイトル,『新印象派 光と色のドラマ』。新印象派の作品が東京都美術館に展示されることとなった。美術館で繰り広げられる『光と色のドラマ』とはいったいどのような世界なのか,その一端を紹介していこう。

 また本展示の音声ナビゲーションは,元宝塚歌劇団・宙組トップスターの大空祐飛さんが担当している。凛とした美しい声が見学者たちを導いてくれることだろう。。

 

公式HP: http://neo.exhn.jp/
会  場東京都美術館
会  期: 2015年1月24日(土) ~ 2015年3月29日(日)
時  間: 9:30~17:30(金曜日は20:00まで)
     ※入館は閉館30分前まで

 

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 新印象派の誕生のもととなった,印象派の作品が展示されている。中でもモネの作品は海を描いているものが多く取り上げられていた。青色と白色を使い,海の光の反射や,穏やかな波,荒れた波,あらゆる海の表情が表現されていた。光の見え方が点で表現されていてキラキラと輝いている。どの作品からも温かみが伝わってくるようである。

 

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 新印象派の初期の作品が展示されている。印象派の作品と比べると,光だけではなく物体も点で描かれるようになり,より細やかな表現がなされていた。ピサロの「庭の母と子」では人物の表情は見えないものの,子の無邪気さや母の愛情が伝わってくる作品だ。そして木々や家や空の温かみが母子を包んでいる,そんな印象を受けた。

 スーラの「セーヌ川,クールブヴォワにて」では細かい点描で繊細に描かれている。街並みを反射するほどのセーヌ川の透明さに目を惹かれる。近くで見ると黄緑色や薄桃色といった意外な色が使われているのがわかる。離れて見るとこれらの色が調和し合い,セーヌ川が輝いてみえる。とても美しい作品だった。

 

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 新印象派の手法となる,色彩理論と点描技法の様式が確立する過程の資料が展示されていた。画家たちのパレットには,パレットには色が段階的に配置されていて,なるべく混ざらないようにという配慮が見て取れた。また,白の絵具を混ぜていく段階も細かく,いかに色を作り出すことに神経を注いでいたかということが伝わってくる。

 

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 そのほかにも色の配置により視覚的効果を得るため,あらゆる組み合わせの色を配置している図解もあり,色彩の組み合わせ理論を確立しようとする努力が見て取れる。組み合わせの技法により点描技法で描かれた習作もあり,技術が絵画に反映されていく様を実感できる。

 

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 点描の方法について,動画による解説が映されている。遠くから見るとひとつの色に見える部分を拡大し,多様な色が使われていることを説明している。小さな子にもわかりやすいような動画になっていた。色彩理論と点描技法に自分でも点描技法に挑戦してみたくなるコーナーだ。

 

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 新印象派の広がりを紹介している。新印象派に影響を受けた様々な画家たちが,新印象派の手法で絵画を描いている。絵画の大半に海や川,草木や空,美しい自然の様子が描かれている。

 画家によって点が大きかったり小さかったりするので,それぞれの作品で違った印象を受ける。ただ,どの作品にも光を表現する,といった根底があるように感じられ,光を受けた草木の喜びや川の美しさが伝わってくるようである。

 

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 新印象派は一時期衰退し始めたが,美しい地中海との出会いが新印象派の衰退をとどめた。アンリ=エドモン・クロスの「農園,夕暮れ」では,木々の緑色の濃さ,夕日の橙色の暖かさが表現されていた。

 また,これまではなかった人物画も展示されていた。新印象派に理解のある,ごく親しい人のみを描いたらしい。服の滑らかさ,瞳の美しさ,描かれた人物の内面の暖かさまでも伝わってくるような絵画だ。

 

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 今までの手法に縛られず,自由な表現方法になり始めた新印象派の絵画が展示されている。点描はより大きくなり,大胆に描かれている。今までの作品より抽象的な絵になっているが,情景は頭のなかにありありと浮かんでくる。今までの新印象派では穏やかな海が多かったが,点を大きくすることで,荒々しい波しぶきが見事表現されていた。

 新印象派から新たな画法が生まれたことが紹介されている。印象派から生まれた新印象派も,ついに新たな手法を生み出す親になったのだ。フォーヴィズムという手法では,点から線になり,純色を使い,抽象的に風景や人物を描き出している。美術の新たな可能性を広げる手法が生まれたのだ。

 

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 色とりどりのブロックが出口へと導いている。幻想的な新印象派の世界から抜け出すことになる。新印象派の世界に浸っていたいと思う反面,現実の世界でも新印象派の絵画の中のような美しい景色に出会ってみたいと思った。

 

 

 


 どの絵画も,まるで自分もその場所にいて暖かな光を浴びている,そういった気分にさせられた。近くでみることで多種多様な色が使用されているのがわかり,遠くから見ることで色の調和の美しさを実感できる。

 本展示を訪れた際には,ぜひ「近くで見る」「遠くで見る」の二通りの見方を試していただきたい。きっと面白い発見に出会えるだろう。

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