「エスプリ ディオール-ディオールの世界」展

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[text and photo by 中野 昭子] 2014/11/5 UP

 銀座にふさわしいハイブランドは多数あれど、ディオールはそのエレガントさと風格により、まさに街の華と言えるだろう。10月30日より銀座の玉屋ASビルで展示される「エスプリ ディオール-ディオールの世界」は、創始者であるクリスチャン・ディオールから、現在のデザイナーのラフ・シモンズの時代までのドレスや香水・化粧品やアート、そしてその世界観を、12の紹介する試みである。

 

公式HP: http://www.dior.com/couture/ja_jp/メゾン-dior/展示/エスプリ-dior

会  場: 東京都中央区銀座3-5-8 玉屋ASビル地下1階~3階
会  期: 10月30日~2015年1月4日(12月11日、1月1日は休館)
時  間:10:30~20:00(最終入場時刻 19:30)

 

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 展示はクリスチャン・ディオールの軌跡から始まる。ディオール氏は画廊の仕事を出発点とし、多数のアーティストたちと親交を結んだ。まず詩人であり画家であるジャン・コクトーと友情を結び、そして自分の画廊にデュフィ、ブラック、デ・キリコ、レオノール・フィニらの作品を展示した。

 

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 その濃密でかけがえのない交流は、1929年の経済恐慌により断たれてしまうが、芸術を愛し敬意を払い、またインスピレーションの源とする精神は、ディオールの歴史の中で耐えることなく息づいている。例えばディオール氏は、ドレスにピカソやダリなど、敬愛するアーティストの名を冠しているし、ジョン・ガリアーノは2007年に発表したコートで、葛飾北斎にオマージュを捧げている。またラフ・シモンズは、アンディ・ウォーホルをあしらったドレスやバッグを制作している。

 

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 ディオール氏は、オートクチュールのメゾンを構えてほどなく、ファッションの歴史を変える作品を発表する。第二次世界大戦で破壊されたビルを再建するように、ファッションを再建したと賞賛されるバー(Bar)スーツは、ゆったりとしたフレアスカートに、ウエストを細く絞った立体的なジャケットの組み合わせを特徴とする。このバー(Bar)スーツの登場以来、ディオール氏は、パリのオートクチュール界の頂点に君臨することとなる。

 

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 1947年のデビューから今に至るまで、ディオールは数々のスターやセレブリティを魅了し続けてきた。マレーネ・ディートリッヒやブリジット・バルドーもディオールのドレスを愛用し、ダイアナ妃はその名を冠した『レディ ディオール』のバッグを使っていた。そして今ではマリオン・コティヤール、ナタリー・ポートマンといった華やかなスターたちが、ディオールを身に纏っている。

 

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 地下1階にはディオールのアトリエが再現され、パリから呼び寄せられた職人たちが働いている。この日にお話を伺った4人の職人のうち、2名がクチュリエール(お針子)で、仕事を持続させる秘訣は情熱だとのお話を伺った。

 

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 他の2名は、香水瓶を装飾する役目とのこと。香水瓶の装飾とは初めて聞く仕事だが、職人たちの手つきの鮮やかさ、飾りの配置のバランス、瓶の仕上がりの美しさを見たところ、確かに専門職とするにふさわしい。こちらは日本にはない職種のようだ。

 

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 そしてこのお二人に関し、思わず注目したのは手。丹念に施されたネイルとアクセサリーのバランスは絶妙で、香水瓶を装飾するにふさわしい指先だった。

 

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 ディオールの華やかな世界を彩るのは、ドレスに加えて香水や化粧品である。ディオール氏は生家の庭でさまざまな花を見たことから色を重要視するようになったが、中でもピンクは幸せの色、赤は情熱の色として重きを置いたという。

 

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 歴代のの香水瓶の美しさは息を呑むほどで、ジャン・ミッシェル・オトニエルの手による艶めかしい曲線を描くボトルなど、香水瓶は一つの芸術作品なのだと実感させられる。

 

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 また3階にはさまざまな現代アートの作家とコラボレーションした作品が見られる。名和昇平や宮永愛子、小谷元彦やニコラ・ミレエなどが、それぞれの得意とするテクスチャーでディオールのバッグを再現しており、展示に更なる花を添えていた。

 

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←キュレーターのフローランス・ミュレー氏

 内覧会にてご解説いただいたフローランス・ミュレー氏の言によれば、この展示の一つの目玉は、地下1階のアトリエとのことだった。  観客は1階でディオール氏の足跡やドレスを見た後、地下でそれらの華やかな世界を支える地盤を確認することになる。そして完全な美は、確かな技術に裏打ちされた上で初めて成立するのだと確信するのだ。  デザイナーや時代の移り変わりの中で、エレガンスを追求しつづけるディオール。その時代ならではの美しさと、変わらぬ美しさを両立させるその世界は、関わる人々すべての手わざとプライドでもって支えられているのだろう。

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