森アーツセンターギャラリー 「わたしのマーガレット展 ~マーガレット・別冊マーガレット 少女まんがの半世紀~」

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[text by Art inn編集部S+中野昭子、photo by 中野昭子] 2014/9/30 UP

←左から京都国際マンガミュージアム研究員の倉持佳代子氏、「別冊マーガレット」編集長の今井孝明氏

 (中)  この秋森アーツセンターギャラリーで開催される「わたしのマーガレット展」は、1963年に創刊された少女漫画雑誌「マーガレット」と「別冊マーガレット」の歴史を辿るものです。  70作家の手による397点の貴重な原画は、観る者を緻密で豊かな夢想の世界に誘い、ファンならずとも魅了されることでしょう。また展示終盤にある「恋する屏風」は、連載作家10名がマジックでガラスの屏風にイラストを描いたものですが、どのキャラクターも活き活きとしており、まるで漫画家たちの息遣いが聞こえてくるようです。

 マーガレットの世界を体現するような爽やかな恋愛シーンが繰り広げられる「カレイドスコープシアター」を抜けると、10章からなる展示が始まります。以下、各章ごとに作品をご紹介します。

 

公式HP: http://my-margaret.jp/

会  場森アーツセンターギャラリー
会  期: 2014年9月20日(土)~10月19日(日)会期中無休
時  間:10:00〜20:00(入館は閉館の30分前まで)

 

第1章 マーガレット・別冊マーガレットの誕生

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 (中)  マーガレット創生期の作品が並ぶこのコーナーでは、水野英子や美内すずえ、和田慎二など、漫画界の重鎮ともいえる作家たちがが居並びます。マーガレットは少女漫画全体の土台となる作家を育て、多彩な才能を排出したのだと実感しました。

 (S)  左の写真の「夢のおへや」は憧れの家具やグッズをコーディネートし、まるごとプレゼントする懸賞企画の再現とのこと!こんな懸賞企画があるのも少女漫画雑誌ならではですね。

 

第2章 スポ根少女から、踊るヒロインまで ~汗、涙、美のドラマ~

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 (中)  浦賀千賀子の『アタックNo.1』山本鈴美香『エースをねらえ!』など、少女漫画のスポ根代表作が展示されているのがこのコーナー。効果音が壁に転写され、時代の空気が読みとれましたね。

 (S)  近年もドラマ化がされた『エースをねらえ!』など、世代を超えて有名な漫画が多いですね。マーガレットが少女漫画界を今日まで牽引してきたことを感じさせます。

 

第3章 戦慄から幻想へ ~怪奇まんがの系譜~

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 (中)  おどろおどろしい黒の展示スペースでは、ベタの割合が高い怪奇マンガがずらり。ホラーの世界は恐怖と緊張感をはらみつつ、思わず引き込まれる力がありました。イラストを描かれるSさんに聞きたいのですが、特に怪奇まんがの絵によく見られる特徴ってあるのでしょうか?

 (S)  怪奇まんがの絵に見られる特徴は中野さんもおっしゃられていますが、やはり効果的なベタ利用でしょうか。あと恋愛漫画などには使用しない、変わったトーンが貼られることで不気味さを増していると個人的には感じました。

 

第4章 ギャグ&コメディ、笑いの衝撃

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 (中)  漫画雑誌の潤滑材とも言えるギャグ漫画ですが、マーガレットの掲載作品は、しっかりしたストーリー性とコミカルな雰囲気を同時に楽しめるものが多いようです。漫画としての力と面白さを同居させることができるのは、やはり作家に実力があるからなのでしょう。

 

第5章 孤高の表現者・紡木たくの世界

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 (中)  掲載時にリアルタイムで見たことがない人でも、何らかの形で紡木たくの、儚く抒情的な絵を目にしたことがある人は多いのではないでしょうか。ここでは映画化された作品『ホットロード』で使用されたバイクなどを見ることができます。

(S)  私自身、映画化されて初めて『ホットロード』を知った1人です。こちらの展示で初めて漫画を拝見しましたが、紡木たくの世界に完全に引き込まれましたね。

 

第6章 きらめく個性 ~少女マンガの多面体~

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 (中)  創刊時より多種多様な才能を擁するマーガレットは、強烈な個性と才能で人気を博した作品を掲載してきました。ビアズリーを思わせる耽美な絵が印象的な楠本まきの『KISSxxxx』や、男性同士の愛情を端麗なタッチで描いた尾崎南の『絶愛-1989-』、少女漫画の主人公らしからぬ破天荒な主人公が活躍する、あいだ夏波の『スイッチガール』など、熱烈なファンを生んできた作品が並んでいます。

 

第7章 LOVE、LOVE、LOVE ~至極の恋愛コレクション~

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 (中)  ラブストーリーが少女漫画の王道なのは、モノローグや登場人物の台詞が、多感な時期の少女たちの感情移入を呼ぶからでしょう。ここでは原画を鑑賞しつつ上を見上げると、キャラクターたちの名言が記されており、私は過去に読んだ時のキャラクターへの思い入れが甦るようでした。

(S)  恋愛コレクションということで、原画もドキドキとするシーンが多く集められていて少女心を震わされました。少女漫画において「恋愛」というテーマはやはり何か特別なものですよね。

 

第8章 池田理代子の華麗なる世界

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 (中)  池田理代子の『ベルサイユのばら』が支持され続けているのは、流麗な絵や魅力的なキャラクターなど、さまざまな要素が考えられますが、中でもきらびやかな世界観と骨太のストーリーがひときわ人を惹きつけるのだと言えるでしょう。その意味で宝塚歌劇は、この作品を3次元で体言するのにぴったりです。展示されているドレスがゴージャスでしたね。

 (S)  そうですね、宝塚歌劇団の衣装に負けないくらい壁の装飾や照明なども凝られており、豪華な宮殿のような展示室が『ベルサイユのばら』の世界観を表現していてより素敵でした。

 

第9章 舞台は学園!! ~恋も友情もいつもここから~

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 (中)  読者が全て現役学生、またはかつて学生であったことを考えれば、学園ものは読み手が最も感情移入しやすい設定です。ここでは「マーガレット」と聞いて受ける印象そのままの作品が並んでおり、マーガレットの彩り豊かな作風の中でも王道のジャンルであろうことが伺えました。

 (S)  学園もの、私も好きなジャンルですね。生徒同士の関係、先生との関係、部活や勉強……学園っていろんな可能性やドキドキが詰まっていますよね。

 

第10章 マーガレット&別冊マーガレット、わたしたちの未来とともに

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 (中)  この企画にふさわしく、花のイラストが満載の「恋する屏風」は、現役漫画家たちの画風やタッチの違いを見ることができます。出口に向かうと、歴代のマーガレットの表紙が並んでいました。鑑賞者は、ここで青春時代に読んだ作品を思い出し、当時の気持ちを思い返すのでしょう。Sさんお気に入りの作品が掲載されている表紙はありましたか?

 (S)  高校時代に読んでいたお気に入りの漫画が表紙絵を飾っている表紙を見つけたときはテンションが上がりました(笑)「恋する屏風」は漫画家さんたちそれぞれのペン使いが目に見えるので、ぜひじっくり見ていただきたい展示です。

 


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←左から俳優の谷原章介氏、漫画家の池田理代子氏

 (中)  記者内覧会の日には、昔からのマーガレットのファンである谷原章介さんと、『ベルサイユのばら』の池田理代子さんの対談が行われました。  40年ぶりに『ベルサイユのばら』の連載を始めたという池田さんに、漫画をとりまく状況は今と昔でどのように異なるか、という質問をした谷原さん。池田さんは、今の方が漫画と漫画家の地位が上がった、という返答をなさっていました。  主催者側のお話では、この展示を企画したきっかけの一つに、原画という貴重な財産の散逸を防止する意図があったということでした。確かに展示を見終わった感想として、原画から屏風に至る作品の全てが、漫画家という創作者の技術力と想像力が結集した財産なのだという実感がありましたよね。

 (S)  そうですね。これだけ多くの作家の原画を一度に見れる機会はなかなかないので大変貴重かと思います。ぜひ足を運んでいただき、日本の文化を感じてみてください。

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