横浜美術館 岡倉天心生誕150年・没後100年記念「生誕140年記念 下村観山展」

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[text and photo by Art inn編集部] 2013/12/11 UP

 現在、横浜美術館では同館のひとつ前の展示、横山大観展に続き、大観同様、岡倉天心に薫陶を受けた下村観山[明治6(1873)~昭和5年(1930)]の展覧会を開催中です。

 下村観山は、実業家・原三溪に招かれ、横浜・本牧に終の棲家を構えた横浜ゆかりの画家。横浜美術館は観山の画稿を含む270点を所蔵しているそうです。

↑記者会見にて。左から、横浜美術館館長・逢坂恵理子氏 。同館主任学芸員・内山淳子氏


公式HP: http://yokohama.art.museum/exhibition/archive/2013/20131207-77.html
会 場横浜美術館
会  期: 2013年12月7日(土曜)~2014年2月11日(火曜・祝日) ※展示期間中、作品の入れ替え有り

 

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 エントランスには、今回の下村観山展をイメージしたという豪華絢爛な活け込みが我々を出迎えてくれました。

 こちらすでに撤去されていますが…、年明けには再び竹をつかったアレンジが登場するとのこと。こちらも楽しみ♪


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 展覧会場入り口には、東京美術学校(現・東京藝大)の設立に大きく貢献した岡倉天心像が。

  下村観山は、この東京美術学校に明治22年(1889)に第一期生として入学しました。同期には横山大観、一年下には菱田春草がいました。


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● 第1章:狩野派の修行

 観山の絵画修業の始まりは明治15年、なんと9歳の時。最期の狩野派と言われた狩野芳崖に画才を認められた観山は、「北心斎東秀(ほくしんさいとうしゅう)」の号を与えられます。

 さらに明治19年、芳崖の盟友・橋本雅邦に師事。13歳となった観山は、この年アーネスト・フェノロサら主催の「鑑画会」に出品し、高い評価を得ます。


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● 第2章:東京美術学校から初期日本美術院

 ←上:《辻説法》明治25(1892)年 展示期間:2013/12/7-2014/1/14予定 / 下:《日蓮上人辻説法(下図)》明治27年(1894)年頃

 明治22年、東京美術学校に入学した翌年、二代目校長となる岡倉天心に薫陶を受けます。「観山」の雅号は、美校入学の頃に使い始めたとのこと。

 すでにひとかどの画家であった観山は、明治27年に卒業後、ただちに助教授に抜擢されたそう。


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←《闍維(じゃい)》明治31(1898)年

 明治31年、美校内部の確執により天心は校長を辞し、観山、大観、春草ら他の教職員も殉じて美校を去ることに。そして同志で「日本美術院」を設立。  釈迦が荼毘に付される場面を描いた《闍維》は、日本美術院が日本絵画協会をの連合展として開催した第1回日本美術展に出品し、またしてもフェノロサの絶賛を浴びます。  棺の下からもくもくと立ち上がる煙はこちらまで匂いが漂ってきそう。


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←《春秋鹿図》明治35-39(1902-06)年頃

 朦朧体と呼ばれた画法で描かれた藤や松の木の前で、悠然としゃがむ鹿三頭。ふっくらとした毛並はなんとも優雅。  また、垂れ下がる藤の花が大変瑞々しく描かれており、薄くてふっくらと丸みのある花弁の表現が本当にすばらしい。


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● 第3章:ヨーロッパ留学と文展

 明治34年、美校の教授として復帰した観山は、その2年後英国へ西洋画の研究へと出発します。  当時の模写も展示されていますが、元々油彩であったものを水彩によって絹に写すなど、確かな技巧が伺えます。

 

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 滞欧中に観山が家族に書き送った絵葉書なども展示されています。  厳格であったという観山ですが、時にはユーモアも交え、楽しんで書いているのが伝わってきます。


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←《小倉山》明治42(1909)年

 本展メインビジュアルの《小倉山》。優雅さと気品に満ち満ちています。画面全体から芳香が漂うよう。  描かれているのは、平安中期の公卿・政治家であった藤原忠平が「百人一首」に寄せられた和歌の歌想を得る様子。  紅葉に色づく木立の流れるような重なり、奥行の表現の見事なことといったら!


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● 第4章:再興日本美術院

←《白狐》大正3(1914)年 展示期間:2013/12/7-12/20 予定  白狐の全身を覆う柔らかな体毛の一本一本までも、神々しいまでの流麗な筆致で丹念に描かれています。

 大正2年末、観山は横浜の実業家・原三溪の招きにより、横浜本牧の和田山に家族と共に移り住み、制作に励みます。  同年、天心の臨終に際し、観山と大観は有名無実化していた日本美術院の再興をはかります。  《白狐》《弱法師》そして《春雨》は、再興院展に出品され、観山の芸術の頂点を極めます。


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←《弱法師》大正4(1915)年 展示期間:2013/12/7-12/20予定

 偽りの告げ口により父に捨てられ、盲目となった俊徳丸が、日想観(にっそうかん:沈む太陽を拝し、極楽浄土を観想すること)を行う場面。


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←《魚籃観音》昭和3(1928)年

 そして、一風変わった作品も。  真ん中の観音の顔は、留学中に模写した《モナ・リザ》の顔で描かれています。発表当時は賛否両論であったとか。



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● おまけ

 「生誕140年記念 下村観山展」にちなんで、横浜美術館内のCafé 小倉山が、“BONSAI CAFÉ(盆栽カフェ)”に!

 本展オリジナルメニューの他、黒松のミニ盆栽が各テーブルに。こちらへも、ぜひお立ち寄りください♪

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