藤原 大ディレクション「カラーハンティング展 色からはじめるデザイン」

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[text and photo by 中野昭子] 2013/7/11 UP

 21_21 DESIGN SIGHTは、新しい美術館やギャラリーが立ち並ぶ六本木界隈でも、安藤忠雄の設計による低層のつくりが目をひく施設である。ここは特定のコレクションを持たないため、展示の度に毎回まっさらな状態に洗い替えされ、常に新鮮な空間となっている。

 この夏公開される「カラーハンティング展 色からはじめるデザイン」の展覧会ディレクターは、ISSEY MIYAKEのデザイナーやディレクターを務めた藤原大氏。藤原氏は、21_21 DESIGN SIGHTでの企画を考案する際、色をキーワードとして選んだ。展示の標題になっているカラーハンティングとは、文字通り、色を採取・捕獲・取得することである。 デザインすることは、気持ちを他者に伝えることであり、その意味では情報社会の現代において、生きる上で必要不可欠なスキルとなった。色は広く共有しうるものであり、その意味でデザインを色から考察することは、色とデザイン両者の、新たな側面を見出し得るだろう。  今回は展示の中で、特に目に留まったものをご紹介する。

公式HPhttp://www.2121designsight.jp/program/color_hunting/
会  場21_21 DESIGN SIGHT
会  期: 2013年6月21日(金)~10月6日(日)
時  間: 11:00~20:00 [休館日 火曜日]
※入館は閉館30分前まで

 

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カラーハンティング

 大きなスクリーンに投影されるのは、2013年3月に、藤原氏が八ヶ岳でカラーハンティングを行っている状況である。映像の中は一面の雪景色に思えるが、このカラーハンティングで得た色を用いてつくられた雛人形を見ると、雪原には白以外にも、さまざまな色が存在することが分かる。

 

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ライオンシューズ

 藤原氏は、アフリカのセレンゲティ公園で、70頭ものライオンのカラーハンティングを実施し、もっともライオンらしい一色を選択した。その一色を反映した靴を、靴メーカーのカンペールが製作し、靴は展示スペースをところ狭しと走り回っている。靴が動き回る台の色は、セレンゲティ公園の大地をカラーハンティングしたもので、現地の大地を走る靴の様子を見ることができる。

 

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スカイダイアリー

 スカイダイアリーは、朝8時から11時くらいの間、3年間に渡って空の色を採取するという試みである。そのカラーチップをもとにして作られた、文字通り彩り豊かな本を見ると、空は万人が見ているものだが、生活に溶け込みすぎていて、その多様な色の表情は、ほとんど把握されていないのだろうと実感する。

 

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カラーボキャブラリ(カラボキャ!)

 会場でひときわ目を惹くこの作品は、ある言葉に対して連想した色を、アンケート形式で分析したものである。ビッグデータの時代、一つ一つの単語が引き出す色から、単語が気持ちの上でどのような作用をもたらすかを知ることは意義があると共に、情報操作から自分を守る術にもなりうるだろう。

 

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動く色

 台の上に置かれた小さな温度計には目盛りがない。こちらは、観客が台に置かれた色鉛筆で最初の温度の目印をつけ、次に温度計に指で触れ、温度の変化を見るという作品で、台に好きなようにメッセージを書くことができる。展示期間の終わりには、この台は無数の人の記録でいっぱいになっていることだろう。

 

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肌色メガネ

 透明感のある肌を持つ女性をカラーハンティングしてつくられたこの作品は、メガネを肌色にすることで、肌の一部になりうることや、またメガネに肌を引き立てるカラーリングを施すことで、化粧になりうることを示している。赤色が入るメガネをかけると、肌がきれいに見えることが実証されたそうで、会場には肌に合うものを探せるように、試着用の眼鏡が置いてある。


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『国家珍宝帳』を説明する藤原大氏

 見え方は違えども、色は多くの人が共有できるものであり、異なる領域を繋ぎとめるものである。今回の企画も、企業や研究者、学生やデザイナーが協力し、人々がボーダレスに関わっている。この世に満ちている色を集めることで、人々の共感や遊び心も集積させることができるのではないか、そんな前向きな気持ちをもらえる展示だった。

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