シャルジャ・ビエンナーレ報告会

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[text and photo by 中野昭子] 2013/5/9 UP

← この日登壇された高谷史郎氏の作品、霧とライトのインスタレーション。SAF Art Spaces の中庭に設置されている。

 アラブ首長国連邦文化都市シャルジャで開催中の『 シャルジャ・ビエンナーレ11 』(会期:2013年3月13日 ~ 2013年5月13日)のキュレーターは、東京都現代美術館チーフ・キュレーター、長谷川祐子氏が任命されている。

先日長谷川祐子氏による報告会があり、当ビエンナーレに出品したアーティストの高谷史郎氏も登壇した。

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← イブン・バットゥータの旅の軌跡。イブン・バットゥータは、同時代を生きたマルコ・ポーロとは異なり、イスラム哲学とコーラン研究の伝統を踏まえた旅をした。

 当ビエンナーレは99名のアーティストによる200点の作品で構成され、そのうち40名のアーティストが新作を出品している。会場は古い美術館等を利用した4つの施設で構成され、建物を全て徒歩で回ると20分程度の距離にあるとのこと。一方で、作品をきちんと鑑賞すると2日間はかかるという。
 シャルジャという国はUAEで三番目に大きい。もともと交易に従事する移民の国で、現在でも現地の人は人口の2割程度である。長谷川氏が当ビエンナーレで挙げた「コートヤード」(中庭)というテーマは、ゲストがビエンナーレを通してシャルジャという国に触れ、会場が外国の人と地元の人の出会いの場となり、文化の交差地点となることが想定されている。
 シャルジャはヨーロッパにもアジアにもロシアにも近く、東や西、内と外といった区切りの少ない大陸的な大らかさを持つ。長谷川氏はこの地が、対象から距離を持って拮抗させるヨーロッパの分析的な方法から離れ、なにごとも融合させる雰囲気を持っているのを体感したそうだ。

 

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← Sharjah Biennial Prizeを受賞した占部史人の作品。地元の流木を使用する予定だったが、流木が流れてくる気配がなく、地元のヤシの木を使用したとのこと。

 長谷川氏は今回の展示にあたり、伝統とコンテンポラリーな技法を合わせたアーティストを選んだという。アーティストは文化的な遺伝子を形にすることが要請されるわけだが、このシャルジャという土地の中で、多様な背景を持つアーティストたちが紡ぎだすアートは、インスタレーションの他に音楽や映像作品が大きな役割を占めているようだった。熱の籠った空気の中で展開する映像や音は、観衆の気持ちを緩やかにし、会場全体の雰囲気を開放的にする。常にその土地にいる人や、ゲストとして参入してきた人など、四方から来た人々が等しくアートを享受できるこのビエンナーレは、まさに「コートヤード」(中庭)というテーマが相応しいようだった。

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