中村屋サロン美術館「浮世絵・水彩画に見る新宿風景展 江戸から昭和まで」

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[text and photo by 三本松通
(IHIエスキューブ Art inn編集部)]
 2016/1/27 UP

 新宿・中村屋サロン美術館では,新宿区立新宿歴史博物館との協働企画として「浮世絵・水彩画に見る新宿風景展 江戸から昭和まで」を開催しています。新宿区立新宿歴史博物館の所蔵作品の中から,新宿をテーマにした浮世絵,油彩画,版画,デッサンなど80点を展示しています。

公式HP: https://www.nakamuraya.co.jp/museum/
会  場: 中村屋サロン美術館 展示室1・2
会  期: 2016年1月16日(土)~3月13日(日)
時  間: 10:30~19:00(入館は18:40まで)
休館日: 毎週火曜日(火曜が祝祭日の場合は開館、翌日休館)

 

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堀潔と新宿

 展示の中心は,精緻で,歴史的記録資料としての価値も高い堀潔(1912-1989)の水彩画(約50点)です。大正・昭和を生きた堀潔は,長きにわたり新宿区内に住み,多くの風景画を残しました。

 大きな作品ばかりでなく,はがきサイズの作品にも細かい描写があり,戦前の新宿駅周辺のように,カラー写真がほぼ残っていない時期の作品は,当時の街の色彩を伝える貴重なものとなっています。

 

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江戸期に描かれた新宿

 本展ではこのほか,様々な時代の新宿区域を描いた作品を展示しています。

 江戸時代初期,甲州街道の日本橋~高井戸間(約16km)に宿場はなく,不便であったため17世紀末,ほぼ中間地点にある内藤家の屋敷(新宿一丁目付近)に宿場が作られました。このことから「内藤新宿」と呼ばれ,賑わうようになります。風紀粛清のため廃止されたのち再開,大きな火事も何度か起こるものの,繁栄を続けます。
 浮世絵師・歌川広重の「名所江戸百景」《四ツ谷内藤新宿》は宿場の往来を大胆な構図で,《角筈熊野十二社俗称十二そう》は江戸郊外の行楽地であった十二社(西新宿2丁目付近)を描いています。

 

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明治~戦前の新宿

堀潔《新宿中村屋》1940[昭和15]年頃 ペン,水彩,紙

 明治時代には山手線や中央線の開通により,新宿駅が開設されました。しかし,新宿駅周辺の本格的な発展は,旧来の東京の市街地が大きな被害を受けた関東大震災のあととなります。
 比較的被害の少なかった西側の郊外に住宅地が形成され,昭和7年(1932)に東京市に併合される豊多摩郡(新宿区のうち旧淀橋区域を含む),荏原郡域の人口が急増。新宿駅は国鉄(省線)と私鉄との結節点,山手線内を走る市電(都電)への接続駅として混雑するようになります。

 

 

 

n02 佐伯祐三「下落合風景(テニス)」(1926)はこの頃の郊外を描いた作品です。

 また,新宿にはほていや,伊勢丹,三越などの百貨店,カフェ,劇場,映画館が多く進出します。1909年に新宿に移転してきた新宿中村屋も,パンや洋食を広める,新宿の文化の象徴的存在となっていました。織田一麿の石版画「画集『新宿』」(1930)にはこの頃の新興繁華街の姿が残されています。

 

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戦後の新宿

 第二次世界大戦中の空襲により新宿区の大部分が被災し,多くの建物が焼失しました。旧3区(牛込・四谷・淀橋区)の人口も戦前の約40万人から約7万8000人へと減少してしまいます。

 戦後復興から昭和の終わりまで,新宿西口の整備,淀橋浄水場跡地が副都心として再開発されていく様など,変化してゆく新宿の光景は堀潔の作品に多く残されています。

 


 shinjuku-map400 展示では作品で描かれた場所の現況写真が並べられ,新宿区立新宿歴史博物館の資料などから,各作品を示す地図も掲示されてます。

 新宿区の地理・歴史的な視点からも,興味深く作品を展観できるものとなってなっています。

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