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 見城美枝子さんの「上がりかまち」論

見城美枝子さんに取材でお会いした。
20歳の娘さんとパリの美術館を見学して帰ってきたばかりだと言う。


ある取材で見城美枝子さんとお会いした。
見城さんと言えば、かつてTBSアナウンサー時代に人気を博し、フリーになった後もエッセイスト、ジャーナリスト、評論家、キャスターなどとして活躍してきた多才なマルチ女性。というイメージを私は持っていた。

見城さんは元々早稲田大学理工学部卒業だが、45歳のときに早稲田大学大学院理工学部研究科に入り建築学を学んだ(現在、見城さんは青森大学の社会学部教授でもいらっしゃる)。

何故に建築を? と訊くと、それは日本を学び直し知るためだとおっしゃる。
見城さんは日本家屋の「上がりかまち」の研究をしていて、博士論文を60歳までに書き上げるつもりだそうだ。(見城さんは1948年生まれである)
欧米化した日本文化の中で「上がりかまち」は、今でも日本に根強く残っている日本文化の象徴のようなもの。
「上がりかまち」は、外と内、不浄と清浄とを分ける結界のようなもの、と見城さんはおっしゃった。
非常に興味深く見城さんの話を聴いた。

ちょうど、立原正明の「残りの雪」を読み終わり、有吉佐和子の「紀ノ川」を読み始めたところだった。
「残り雪」は昭和40年代、鎌倉の上流階級家に残っている、普段から和服を着こなす若い女の潔癖な貞操。「紀ノ川」は明治30年代の紀伊の女の婦徳がすごく面白い。
そして、どちらの小説も、今ではほとんど忘れられた、当時の日本の仕来たりや女性の立ち居振る舞い、また和服や調度品などの描写がすばらしい。

そんな日本文化の温故を小説で堪能して、見城さんの上がりかまちのお話を聴いたら、よけいに心に沁みた。
私は日本の何を知っているだろう。

見城さんはパリでルーブル美術館とオルセー美術館を見学したと言う。
今年の夏には長野にある古い民家でフィールドワークをし、長年の懸案となっている「上がりかまち」をテーマにした博士論文の執筆に取り掛かるそうだ。
日本ではあちこちの美術館を巡れば、西洋画も日本画も、また古器や仏像の展覧会もあるし、現代アートもっとたくさん観ることができる。
さまざまなものを深く感じ取り、現代の日本文化というものを改めて確信してみたいものだ。

[text by Junichi Ishikawa :Art inn chief editor]