「絵は描けなくても、絵を鑑賞することは出来るのだ。」
本書は、大橋巨泉氏の独断と偏見で著された、西洋美術鑑賞の手引書です。
巨泉さんと美術???
書店で本書を見かけた時は、あまり両者の関係性が見出せずにいましたが、「まえがき」の部分を立ち読みした途端、そのほとばしる美術への情熱に打たれましたぁっっ!
表紙中央に、巨泉さんのトレードマークである黒縁めがねが特殊な加工で大きくプリントされています。
(写真では分かりにくいですが、ツルッとした質感。)
帯には、「これを見ずして死ねるか!」の文字が!!
子どもの頃から絵が下手で、工作も苦手。
ゴルフや競馬、マージャンにジャズに英語…これまではまったものは数知れず。
しかし美術にはまったくといっていいほど縁が無かった巨泉氏。
そんな巨泉氏に、1999年、大きな転機が訪れます。
寿々子夫人との結婚30周年を記念して今まで行ったことの無いイベリア半島を訪れることに。
ゴルフ場も少なく、競馬場もないこの地で、とりあえず向かったスペイン、マドリッドのプラド美術館。
予備知識も無いまま、この美の殿堂を訪れた巨泉夫妻でしたが、数時間後に出てきた時には、西洋美術のとりこになっていたのだそう。
この時、唯一の鑑賞の手引きは、旅の前に畏友石坂浩二氏からもらったアドバイス。
「本物をじっくり見ることだけ」
本物の前に立ち、何か伝わってくるならば、立ち止まり、会話が成立するならばそれを楽しむ。
なんてシンプルな鑑賞法!!
本書は、西洋美術、主に絵画における重要作家をひとりづつ章ごとに解説していきます。
実際、ご自身が何度も出向いて直接その眼で鑑賞しているので、本物に触れた時の感動、心模様が手に取るように伝わってきます。
また、これらの名作が生み出されるのに、切っても切れない時代背景も丁寧に汲み取り、西洋美術の入門書としては大変読みやすい構成になっています。図版も満載!
1999年から現在まで、たかだか9年余りで100以上の美術館、教会、宮殿、修道院を訪ね歩くという脅威的なペースで、美術鑑賞、研究を成し得たのは、生来凝り性で、勉強熱心な巨泉氏ならでは。
あとがきにて、ゴルフを「生涯の友」とするならば、美術は「遅れてきた友」である とあります。
世のお父さん方、今からでも間に合いますよ!!
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