
[ text and photo by 寅次郎] 2010/5/20 UP
会 期
2010年4月24日(土)~6月20日(日)
入ってすぐ、ロビー正面の壁に1枚の自画像(ロトチェンコ《自画像》1920年)が展示されている。
近づいてみると 背景の群青色が、光る表面の奥に、吸込まれそうな深い青。
こんなきれいな青(あを)見たことない。
左の壁にはもう一枚の自画像。こちらは、ステパーノワ「自画像26番」1920年。
黒の太線がオレンジの襟と焦げ茶の胸元を分けて、鮮やかに引き締まって見える。
こちらも色使いが印象的だ。
広間に入ると二人の初期の作品群が並ぶ。
ここでは、ロシア構成主義にとっても、キュビズムの影響がいかに大きかったかがわかる。(特にステパーノワ)
そして、次の小部屋に足を踏み入れたとたん、「あ、やられた...」
奥に『なめらかな色』の3部作。それは、正方形のキャンバスに赤一色、黄一色、青一色の3枚。
(私には青が限りなく黒に見えたが ^^;)(参考:マレーヴィチの『黒の正方形』)
色や形が構成要素に行き着いてしまって、1921年以降の絵画作品はなく、いわば筆を折ってしまっている。
以後の展示はデザイン、グラフィック、印刷物、建築、空間構成、写真、演劇とジャンルや対象が広がっていく。
日本の民芸運動が名もない日用品の中に美を見いだそうとしたとすれば、ロシアのアバンギャルドは日常の中に美を持ち込もうとしたといえるのかもしれない。
理論先行型の芸術運動には、個人的にはついていけないところもあるけれど、ロシア革命の高揚の中、様々な実験を展開した構成主義の流れは、芸術の領域を生活の中に広げたと言う点で評価できる。
買ってきたステパーノワ デザインの『男性用運動着』『婦人用運動着』をプリントしたウォッカグラスにお酒を入れて、二人でチンなんてやっていると、絵を見ていたときは違って、「生活の中にアートがあることは いいものだな」とつくづく思うのであった。
Art inn関連記事
●Art inn最新展覧会情報:東京都庭園美術館「ロトチェンコ+ステパーノワ ロシア構成主義のまなざし」はコチラ

