
※このページの写真はあくまでイメージで、本展とは一切関係ありません。
[ text and photo by msx] 2010/8/30 UP
会 期
2010年8 月25 日(水)~9 月6 日(月)
松屋銀座で開催されている「アール・ヌーヴォーのポスター芸術展」でまず目を引いたのは、ウィーン分離派展のポスターだった。
ウィーン分離派展は1898年から1918年までに49回の展覧会を行い、多彩な画家が各展覧会のポスターデザインを担当している。
文字のフォントや画面構成、左右の対称・非対称など、それぞれの作品が細部に至るまで、強靭なバランス感覚や法則性を保っており、非常に洗練されていた。
芸術展の制約された情報の宣伝を行うという目的からつくられたポスターが、既に独自の芸術性を確立しているという事態は、ポスターの地位引き上げにつながったのではないだろうか。
アール・ヌーヴォーはその名の通り、新しさ・自由さを志向する動きだが、未来を志向しながらも、その曲線は遠い過去の装飾を感じさせ、モチーフはいにしえの神話や民話を匂わせる。
そのせいか、全体の雰囲気として、どの時代のどの場所という形で縛られず、無時間的な時の流れに漂っているようだ。
繊細で華奢な画風でありながら、強くたわむ柳のような芯の強さを感じるのは、この潮流が一時的な時代の仇花であったのではなく、古いものと新しいものをミックスさせた、普遍的な美の姿を顕現させたからではないかと思う。
この展示のポスターはチェコの美術館・ギャラリーの収蔵作品であるとのこと。
以前プラハを訪れた時、街のところどころに残る繊細で美しいレリーフや建築物が印象深かったが、嘗てこの街にはアール・ヌーヴォーが栄え、プラハ市民会館の内部装飾などはモラヴィア生まれのミュシャも参加したと聞いた。
フランスなどの主要国に比べれば、チェコへのアール・ヌーヴォーの訪れは遅かったようだが、この街のどこか暗くて腺病質な美しさは、洒脱で優美なアール・ヌーヴォーに、独自の重みと存在感を与えたのではないだろうか。
街角でふと出会ったレリーフ、不思議な魚と謎めいた紋様に取り巻かれた女性の像を見ていると、過去と未来を幻視しながら理想のイメージを追い求めた、真摯な作者の気配を感じたものだった。
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