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 国立西洋美術館「ナポリ・宮廷と美―カポディモンテ美術館展 ルネサンスからバロックまで」

国立西洋美術館「ナポリ・宮廷と美―カポディモンテ美術館展 ルネサンスからバロックまで」
[ text and photo by 寅次郎] 2010/8/30 UP


会 期
2010年6月26日(土)~9月26日(日)


イタリアの織田信長「チェーザレ・ボルジア」は、父であるローマ教皇「アレクサンデル6世」の権力を後ろ盾として、国家統一を推し進めようとする。(塩野七生『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』に詳しい)
このアレクサンデル6世の愛人の一人が「ジュリア・ファルネーゼ」で、聖職に就いたジュリアの長兄アレッサンドロは、妹のおかげで、枢機卿に抜擢され、やがて教皇「パウルス3世」となる。
パウルス3世はミケランジェロにシスティーナ礼拝堂の『最後の審判』を描かせた(催促した)ことでも知られるが、自分の二人の孫を枢機卿に抜擢して、ファルネーゼ家の地歩を固めていく。

前置きが長くなったが、カポディモンテ美術館は、このファルネーゼ家が収集したコレクションがその中核となっている。


国立西洋美術館「ナポリ・宮廷と美―カポディモンテ美術館展 ルネサンスからバロックまで」 いくつかの作品を紹介しておこう。
グイド・レーニ作『アタランテとヒッポメネス』
朝日新聞でも紹介された 192×264cm のこの大作は、文豪ゲーテがこの作品を見て、一目惚れしたとされる。
現在プラド美術館にも 206×297cm の本作品があるが、ゲーテが観たのは、カポディモンテの方である。
ギリシャ神話に題材をとったものだが、男女二人のバレーの踊り(パ・ド・ドゥ)の瞬間を捕らえたとの説があり、そう思ってみると、金のリンゴを3回投げるバレーの前後の動きが見えてくるようで不思議だ。

国立西洋美術館「ナポリ・宮廷と美―カポディモンテ美術館展 ルネサンスからバロックまで」 アンニーバレ・カラッチ作『リナルドとアルミーダ』
JR山手線の車内に貼られた本展ポスターの絵がおそらくこれ。
トルクァート・タッソの叙事詩『解放されたエルサレム』から題材をとったもの。
魔女「アルミーダ」の膝に横たわる十字軍の最強戦士「リナルド」は、魔法にかけられて彼女にメロメロで、描かれた場面では彼女の瞳を見ているが、おそらくこの後、手に持つダイアモンドの鏡をみて、目が覚める。
ストーリーを知る見手は 敵の戦士に恋してしまったアルミーダの悲運と、魔法が解け 戦士としての義務を果たそうと戦場に戻るリナルドの胸の内を思いながら、恋と義務のどちらを支持するか逡巡したに違いない。

国立西洋美術館「ナポリ・宮廷と美―カポディモンテ美術館展 ルネサンスからバロックまで」 アルテミジア・ジェンティレスキ作『ユディトとホロフェルネス』
旧約聖書外伝『ユディト記』の題材による。寡婦ユディトが街に攻めてきた敵将軍 ホロフェルネス の首を斬る瞬間の絵である。
カラヴァッジョにも同じく『ホロフェルネスの首を斬るユーディット』があるが、二十歳のジェンティレスキは、侍女のアプラを殺害に積極的に参加させている。
ちなみにクリムトの代表作『ユディトI』『ユディトII』も同じ題材に基づくものだが、先行する作品を見た後で 改めて見ると、また別の印象を受けるから不思議だ。

まだまだ紹介したい作品がたくさんあるが、今夜はこの辺で。


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