撮影:高嶋清俊
■ 「小杉武久 二つのコンサート」詳細
昨年、音楽家活動五十周年を迎えた小杉武久は、 そのキャリアを通じて音楽という概念を一貫して革新し続けてきた。楽譜に固定された音楽から自由になるための集団即興演奏、 行為そのものが音楽となるアクション・ミュージック、肉体を介在しない音楽としてのサウンド・インスタレーション、 慣習化したパターンとしての演奏行為から解き放たれるためのライヴ・エレクトロニック・ミュージック。 こうした小杉の音楽は、音・光・波などの多様な波動を重層的に展開させることによって、 例えば音の聴こえない沈黙の音楽として提示されることもあり、音を超越した小杉の「音楽」は、聴衆を新たな知覚のディメンションへと導く。
本演奏会の一日目は、1960年代にフルクサスから紹介されたアクション・ミュージックを皮切りに、 2000年代に至るライヴ・エレクトロニック・ミュージックまでが総括的に網羅され、和泉希洋志、浜崎健、藤本由紀夫、ヤマタカEYEといった、 小杉の熱望によって参加が実現したパフォーマーらにより、現在系の解釈によって小杉の代表作が演奏される。 演奏会の二日目は、盟友・高橋悠治との共演により、お互いが相手のために書き下ろした新作の演奏が中心となる。 すなわち、今回のコンサートは前衛としての立場を貫いてきた小杉の歩みを理想的な演奏によって概観できる貴重な機会であり、 そして、21世紀という現在において、小杉がどのような新しい地平における「音楽」を果敢に開拓しつつあるのかを我々は体験することになるだろう。(川崎弘二・批評家)
I. Music and Beyond
6月12日(金) 開演:午後7時
演奏:小杉武久、和泉希洋志、浜崎健、藤本由紀夫、ヤマタカEYE
II. Yuji plays Kosugi / Kosugi plays Yuji
6月13日(土) 開演:午後4時
演奏:小杉武久、高橋悠治
チケット料金:各公演とも 前売\1,800/当日\2,000(限定30枚)
前売チケットの取り扱い:下記にてチケット発売中
・電子チケットぴあ tel. 0570-02-9999 (Pコード 320-367)
・ローソンチケット tel. 0570-084-005 (Lコード 55625)
*開場・受付開始は開演の30分前
*会場内はすべて立見となります(各公演とも定員250名)
*未就学児童の入場はご遠慮ください
〈出演者のプロフィール〉
■小杉武久 KOSUGI Takehisa
1938年東京生まれ。東京芸術大学音楽学部楽理科卒。 大学在学中の1960年、刀根康尚、塩見允枝子らと日本で最初の集団即興演奏のためのグループ「グループ・音楽」を結成。 60年代初めには、アメリカの前衛芸術家集団「フルクサス」によって、イヴェント作品が欧米に紹介される。 1965-67年ニューヨークに滞在し、ナム・ジュン・パイクらとミクスト・メディアによるパフォーマンスを行うとともに、自作コンサートを開催。 1969年「タージ・マハル旅行団」を結成し、国内外の様々な場所でインターメディアによる集団即興演奏を試みる。 1977年のアメリカ移住以来、マース・カニングハム舞踊団の専属作曲家/演奏家として、ジョン・ケージ、デヴィッド・チュードアらと活動、 1995年より同舞踊団の音楽監督を務めている。また、個人としても世界各地の芸術祭や展覧会に数多く参加。 1994年、第2回ジョン・ケージ・アワード・フォー・ミュージック賞を受賞。 2008年には横浜トリエンナーレ2008でサウンド・インスタレーション作品の発表と演奏を行うなど、常にアートの第一線で活動を展開している。
■和泉希洋志 IZUMI Kiyoshi
1968年香川県生まれ。主にサンプリング・メソッドによる絵画、立体、映像、音楽、洋服などを制作。 1990年初個展。以後数々の展覧会やパフォーマンスに参加。1997年英国のレーベル(リフレックス)よりCDデビューを皮切りに、 2000年、2004年にアルバムをリリース、その他コンピレーションに多数参加、リミックスも行う。 1996年より小杉武久のサウンド・パフォーマンス、1997年-2002年ボアダムズのライヴ&レコーデイングに参加。 2008年「布をめぐる旅」(高松市歴史資料館)ではT-シャツなどの洋服、 「ひびきあう音・色・形」(高松市美術館)ではサウンド作品の展示などクロスオーバーな活動を行う。
■浜崎健 HAMAZAKI Ken
スキンヘッドに全身真っ赤な格好で「赤い人」として知られる。20歳で渡英し、帰国後から制作活動を開始する一方、 1992年より大阪・東心斎橋にてギャラリーの運営を始める。南船場に移転後、1997年に外観から内装まですべて赤に統一した「浜崎健立現代美術館」を開館。 また「RED TEA CEREMONY」と称したお茶会のパフォーマンスを国内外の幅広い分野で展開。 代表作である「MAZE PAINTING」では、有名人の肖像画や身近にある事物をモチーフに、対象の輪郭や陰影を迷路で表した作品を展開。 「PUZZLE PAINTING」では、主にモナリザをテーマに、パズルのピースを一つずつペイントして組み立て、一つの画面を作り上げている。 いずれも遊び心に満ち、ミクロの世界を垣間見せると共に、見慣れた物に新たな視点を投げかけている。
■藤本由紀夫 FUJIMOTO Yukio
1950年名古屋生まれ。1975年大阪芸術大学音楽学科卒。70年代よりエレクトロニクスを利用したパフォーマンス、インスタレーションを行う。 80年代半ばよりサウンド・オブジェの制作を行う。音を形で表現した作品を個展やグループ展にて発表、その作品を使ったパフォーマンスを行うなど、 空間を利用した独自のテクノロジーアートの世界を展開。見ること、聞くことに対する哲学的な問いかけを含んだ作品は高く評価され、 2001年、2007年のヴェネツィア・ビエンナーレに相次いで出品するなど、国際的な活動を続けている。
■ヤマタカEYE YAMATAKA Eye
神戸生まれ。1980年自室にて音楽活動を開始。1983年「HANATARASH」結成、クレーン車等を使用したパフォーマンス・アートを行う。 1986年「ボアダムズ」結成、ライヴ公演、CD制作などを行う。1991年ソニック・ユースに招かれ、ボアダムズ初のアメリカ・ツアー。 以後、欧米やオーストラリアで頻繁にツアーを行うとともに、ナム・ジュン・パイク、小杉武久らと共演。 個人としてもジョン・ゾーン、大友良英と共演。2007年にNYにて77台、2008年にはLAで88台のドラムによるライヴをボアダムズで行う。 また大竹伸朗とのコラボレーションをはじめ、NY、オーストラリア、東京、京都などでのアートエキシビジョン、 BECKのCDジャケット制作、10年以上にわたるDJ等、多彩な活動を続けている。
■高橋悠治 TAKAHASHI Yuji
1938年東京生まれ。柴田南雄、小倉朗に作曲を学ぶ。1960年ピアニストとしてデビュー。 1962年ベルリンに留学、ヤニス・クセナキスに師事し、ヨーロッパ各地で演奏活動を行う。 1966年にはニューヨークに渡り、コンピュータによる作曲を研究する一方、欧米各地で演奏活動を行う。 1972年の帰国後、バッハ、サティなど数々のピアノ曲を録音。1973年には武満徹、一柳慧らとグループ「トランソニック」を結成、 1976年まで季刊誌「トランソニック」を編集。1978-85年アジア民衆の抵抗歌を紹介するために「水牛楽団」を組織し、 市民集会で演奏するかたわら、月刊「水牛楽団」を発行。また、個人としても三宅榛名とのジョイント・コンサート・プロジェクトをはじめ 、即興演奏、コンピュータによる作曲・演奏活動を行う。90年代以降は和楽器と声のための作品を多数発表。2008年フォンテックよりモンポウ、 ブゾーニ作品のCDアルバムが発売されるなど多岐にわたる活動を展開している。

