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 原美術館「崔在銀 展―アショカの森―」
[図版A]「幻想の裏面」 2010年 カラー写真
[図版A]「幻想の裏面」
2010年 カラー写真
 今秋、原美術館では、ソウル生まれの女性アーティスト、崔在銀(チェ ジェウン)の、日本の美術館における初個展を開催いたします。
  • 会 期
    • 2010年9月11日(土)~12月26日(日)
  • 休館日
    • 月曜日(9月20日、10月11日は開館)、9月21日、10月12日

開館時間

11:00 am-5:00 pm (祝日を除く水曜日は8:00pmまで開館/入館は閉館時刻の30分前まで)

観覧料金

一般1,000円、大高生700円、小中生500円/原美術館メンバーは無料、学期中の土曜日は
小中高生の入館無料/20名以上の団体は1人100円引

 崔が本展で展開するのは、“森”。「アショカ王の5本の樹の森」という故事に想を得て、立体、写真、映像作品などで構成する新作のインスタレーションです。アショカ王は、仏教を守護したことで知られる古代インドの皇帝ですが、彼は、国民ひとりひとりが、5本の樹を植え、それを“森”として見守ることを提唱したと言われています。5本の樹とは、薬効のある樹、果実のなる樹、燃料になる樹、家を建てる樹、そして花を咲かせる樹。

 ここでの<樹>のイメージは時間を横切る存在であり、永遠に向かって手を差し延べながらも衆生に限りない安らぎを施す深淵から湧き立つような慈悲の存在でもある。
 これは古代から今日に至るまで変わらない人間と樹との関係であり、もう一方ではその永遠たる長さにより、かえって世の中のすべてが時間の変化を通して変わっていく姿を見せてくれていることでもある。
 ボルヘスは、「人間のあらゆる精神的な体験は時間の体験に還元される」と言っている。<樹>はまさにそのような精神的な媒介者なのである。


―作家によるコンセプトノートより―


 森が内包する大いなる生命の流れと、樹と人間との悠久の交感に思いを巡らせながら、崔は館内に “森”を誕生させます。


□ 出品作品
ギャラリー1:「アショカの森」2010年 インスタレーション
ギャラリー2:「Forever and a day」2010年 ビデオ インスタレーション
ギャラリー3:「森は、いつからそこにあったのでしょうか。」2010年 ビデオ インスタレーション
ギャラリー4、5:「幻想の裏面」2010年 カラー写真

□ ギャラリーガイド
日曜・祝日には当館学芸員によるギャラリーガイドを実施(2:30pmより約30分)

□ 関連イベント

9月18日[土] 2:30-4:00pm 対談/崔在銀×南嶌宏(女子美術大学教授)
10月31日[日] 2:30-3:30pm 講演会/「樹が教えてくれること - 時間と関係」
中村桂子(JT生命誌研究館館長)※要予約。
Tel: 03-3445-0669 E-mail: info@haramuseum.or.jp

□ 崔在銀について  Choi, Jae-Eun
 1953年、ソウル生まれ。76年より東京に在住し、草月流で華道を学ぶ。84年から3年間、草月流三代目家元、勅使河原宏のアシスタントとなる。95年には、日本代表の1人として第46回ヴェネチア ビエンナーレに出品するなど、国際展への参加多数。2001年には、映画『On The Way』を発表し、映画監督としても活躍。

 1976年の来日を機に、日本の伝統芸術である生け花に魅せられた崔は、その成り立ちから革新性のある草月流と出会い、後に、三代目家元であり映画監督でもあった勅使河原宏のアシスタントとして、器に花を生けるという生け花の表層だけでなく、その空間概念や宇宙観をも学びました。そして自身の豊かな感性と共鳴させながら、作品をインスタレーションというかたちに昇華させていきました。植物や水、空気、火、土などを素材として、植物の生命が育まれ、枯渇してゆく時間の流れに人間の一生を重ね合せる初期の作品は、そのアイデアにおいてもスケールにおいても、伝統的な生け花の枠を大きく超えるものでした。
 1986年には、「ワールド アンダーグランド プロジェクト」と称し、韓国の慶州や福井県の今立、欧米やアフリカなど、さまざまな土地でプロジェクトを開始。原美術館が所蔵する『モーツァルトへのオマージュ』(1988年)もそのうちの1点です。和紙を地中に埋め、時を経てから掘り出すこの作品は、作品の完成を作家の手ではなく、各地の地中の環境に委ねるという画期的なものでした。アート(ART)という言葉は、本来、人間の手による行為そのものを意味しますが、このプロジェクトにおける崔自身の行為はわずかであり、作品完成までのプロセスのほとんどは自然の働きに因るという、アートの根幹を揺るがすものでもありました。やがて彼女は顕微鏡を覗き込み、ミクロの世界をモチーフとした作品も発表するようになりました。このように、崔の表現の形態は変化していきましたが、“生命”について深く考える視点は全作品を通して貫かれています。

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