「大エルミタージュ美術館展」
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1.「聖母子」 1480年代末 作者不詳(15世紀末のヴェネツィア派)
2.「オランダの室内」 1670年頃 ピーテル・ヤンセンス・エリンハ
3.「散歩の後」 1860年頃 ギュスターヴ・ド・ヨンゲ
4.「扇子を持つ女」 1880年 ピエール=オーギュスト・ルノワール
5.「18世紀の女官たちの水浴」 1888年 フランソワ・フラマン
6.「リュコメデス王の宮殿に到着したオデュッセウス」 1648年頃 クロード・ロラン(クロード・ジュレ)
7.「聖パウロの説教の場面がある廃墟」 1744年 ジョヴァンニ・パオロ・パンニーニ
8.「野原の少女」 1857年 ルートヴィヒ・クナウス
9.「ジヴェルニーの干草」 1886年 クロード・モネ
10.「果実を持つ女」 1893年 ポール・ゴーギャン
11.「リュクサンブール公園、ショパン記念碑」 1909年 アンリ・ルソー
12.「エルベ川から見たピルナの風景」 1753年頃 ベルナルド・ベロット
13.「ナポリ湾の花火」 1875年 オスヴァルト・アヘンバッハ
(c)The State Hermitage Museum, St.Petersburg, 2006
およそ300万点もの所蔵品を誇る世界最大の美術館のひとつ、ロシアの国立エルミタージュ美術館。「大エルミタージュ美術館展」は、その膨大なコレクションの中から、「都市と自然と人びと」をテーマに、15世紀のヴェネツィア派から20世紀の近代絵画まで、400年にわたるヨーロッパ各国の75人の画家による油彩画80点を厳選して紹介するものです。
自然の美しさや恵みが再認識される一方で自然破壊の危機が叫ばれ、都市問題がクローズアップされているのが現代ですが、程度の差こそあれ、いつの世にも同様の問題は存在してきました。人間を介して、自然と都市は離れ難く結びついているのです。こうした視点から、「家庭の情景」、「人と自然の共生」、「都市の肖像」という3つの柱に従ってルネサンス以降のヨーロッパ絵画の歴史を見ようというのが今回の展覧会です。
さまざまな時間と場所で巨匠たちが描いた風景は、現代に生きる私たちに、人間は都市という環境も含めて自然と相互に作用しあいながら存在していくことを訴えてきます。
エルミタージュ美術館と長い年月をかけて協議を重ね、日露文化交流の一環としてついに実現したこの展覧会は、2006年の企画展の掉尾を飾るにふさわしく必見です。
開催期間
2006年10月19日(木)-12月24日(日)
休館日
毎週月曜日
入場料
一般1400円/学生1200円、高校生650円、65歳以上700円
電話
03-6215-4406
開催場所
東京都美術館
東京都台東区上野公園8-36
交通案内
JR「上野駅」公園口より徒歩7分
または東京メトロ、京成電鉄「上野駅」下車 徒歩8分
駐車場はございませんので、お車での来館はご遠慮ください。
但し、身障者用の車の場合は事前にご連絡ください。
Editor's review
もうコートを羽織る季節だというのに、上野公園は人でいっぱいだ。東京都美術館で開催中の「大エルミタージュ美術館展」も予想通りの大盛況だった。
「エルミタージュ美術館」はロシアの帝政時代の首都サンクトぺテルブルクにあり、総数およそ300万点の膨大な所蔵品を誇る、世界最大級の美術館である。そもそもサンクトぺテルブルクは18世紀初頭、ピョートル1世がわずか10年ほどで建造した「北のヴェネツィア」と称されたネヴァ川左岸の都市である。その歴史上で「サンクト・ピーテルブルク」、「ペトログラード」、「レニングラード」、そしてソビエトが崩壊した1991年からは現在の「サンクトぺテルブルク」という名に戻った。
その後、ピョートル大帝の孫にあたるピョートル3世が即位しわずか6ヶ月でクーデターによって退けられ、ここから彼の妻・エカテリーナ2世の34年にわたる統治がはじまるのだが、彼女が、宮殿に隣接して私的な小美術館を建てたのが、現在のエルミタージュ(フランス語で「隠者の庵」)美術館の発祥。1990年には、世界文化遺産にも登録された。館内はとにかく広い。(400あまりのすべての展示室をまわるのに28kmにおよぶ通路を歩かなくてはいけないとか!)
今展のみどころは、3つの柱からなる。 “家庭の情景”、“人と自然の共生”、“都市の肖像”である。今回出展の80点におよぶ油彩画は時代的には400年にわたり、地域的にもヨーロッパ各国にまたがるが、基本的には「都市と自然」というコンセプトにしたがって選ばれている。確かに、すべての作品に自然の姿が描きこまれている。今も昔も、都市と自然にはさまざまな問題があり、それらをルネサンス以降のヨーロッパ絵画の歴史を通してみてゆくというのが今展の趣旨。
それらの美しい絵画の中でも、ひときわ釘付けられたのは、フランソワ・フラマンの「18世紀の女官たちの水浴」だ。90×115cmの画面からは、それよりももっと大きな世界観が溢れ出ていた。背景に新古典主義様式の柱廊とバロック様式の彫像を配した水浴の場面なのだが、おもむろに裸体で水浴する若い女性たちと、その後方に広がる紅葉した森の自然の姿がとにかく美しい。秋らしい透明でひんやりした空気感がビンビンに伝わってきて、彼女たちはそんなところで水浴びしていて寒くないのだろうか、と余計な心配をしてしまう。まぁそんなことも、とにかくすごく美しいからどうでも良いのだ。そして、この絵画の舞台が歴史的な設定なのは、画家が公に裸体を描くのに必要だったのだとか。本作品は当初《水浴するニンフ》というタイトルで、絶大な人気を博し、ロシア皇帝アレクサンドル3世は、サンクトペテルブルクでこの絵をみて、2万フランの値をつけたとか、気持ちは分かるような。
ともかく、400年にわたるヨーロッパ絵画の変遷を辿ってみるだけでも面白い。ぜひともご来館いただきたい。
[text by Junko Matsuda]

