■ 埼玉県立近代美術館 没後30年 熊谷守一展 -天与の色彩 究極のかたち-
熊谷守一《櫻》 1968年 天童市美術館寄託 |
| ◆ この展覧会では、熊谷守一の没後30年を記念し、初期から晩年にいたる124点の油彩画に、日本画33点、書16点をあわせてご紹介いたします。 | |
| 会 期 | 2008年2月2日(土)~3月23日(日) |
| 主催 | 埼玉県立近代美術館、熊谷守一展実行委員会 |
| 助成 | 財団法人地域創造(平成19年度公立美術館巡回展支援事業) |
| 協力 | トヨタ自動車株式会社、JR東日本大宮支社 |
| 特別協力 | 愛知県美術館(木村定三コレクション) |
| 休館日 | 月曜日は休館(2月11日は開館) |
| 開館時間 | 午前10時~午後5時30分 (入場は午後5時まで) | |
| 入館料 | 一般800円(640円)、大高生640円(520円) ( )内は団体20名以上の料金。 中学生以下、65歳以上、障害者手帳をお持ちの方は無料です。 |

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・・・《展示内容》・・・
![]() 熊谷守一《櫻》1968年 天童市美術館寄託 |
「いま何をしたいか、何が望みか」とよく聞かれますが、別に望みというようなものはありません。
だがしいて言えば、「いのち」でしょうか。
もっと生きたいことは生きたい。- 熊谷守一がこう語ったのは91歳のときです。
1880年岐阜県に生まれた熊谷守一(くまがい・もりかず)は、その後97歳まで作品を描き続け、
1977年にこの世を去りました。この画家は、身の回りにあるあたりまえのものを厳しく、また、
いとおしむような優しいまなざしで観察しながら日々を送りました。
見つめ続けることから創り出された単純かつ絶対的な「かたち」と、持って生まれたまなざしが決定する「いろ」。
このふたつを駆使し、守一は折々の風景や花や小さな生き物たちを描いたのです。
こうして生まれた熊谷守一の世界は、今日もなお、みずみずしい生命のよろこびを私たちに伝えます。
・・・《展示構成》・・・
| 第1章 形をつかむ | 第2章 色をとらえる | ||||
熊谷守一は、1880年に岐阜県恵那郡付知村(つけち村。現在の中津川市)に生まれ、1900年に東京美術学校西洋画科(現在の東京藝術大学美術学部)に入学しました。同級生だった青木繁も、守一の制作態度や作品に一目を置いていました。 初期の作品では、蝋燭、裸電球、月明かりで輝く対象を好んで題材にし、わずかな光に浮かび上がる対象のすべてを克明に写し取ろうとしました。 1909年の文展で褒状を受けた《蝋燭》は、この時期の代表作です。在学中に父を亡くした守一は、卒業後、樺太調査隊に参加して給金を得ましたが、1910年に母危篤の知らせを受け取ると故郷の付知に戻り、しばらく画業を中断します。 |
守一は4年8か月の日々を付知で送り、日傭(ひよう)と呼ばれる木材の運搬作業に従事したりしました。 そして1915年、35歳の年に東京へ戻り、友人が所属する二科会で作品発表を始めました。 ところが守一は、もっと大きな事を捉えようともがいていました。 円周率、代数、幾何、音の振動数、時計が正確に時刻を刻む原理。彼は興味を持ったもの全ての真理を追究しました。大きな困難を乗り越えてそれが収束する頃、ようやく「守一様式」と呼ばれる画風の兆しが立ち現れてくるのです。 作品はしだいに対象の形態を失い、輝く色の塊として表現されていきましたが、こうした作品は仲間たちに失望を与えるばかりでした。 |
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| 第3章 天与の色彩 | 第4章 守一の日本画 | ||||
対象を輪郭線で区切る守一の手法を、「守一様式」と呼ぶことがあります。この手法が定着したのは1939年前後からです。同じ頃、仲間内ではなく、初めて純粋に守一の作品を評価する人物、木村定三氏との出会いがありました。 木村氏は名古屋で開催した水墨画の個展にふらりと現れ、「絵が面白いから百枚までは買ってやる」と言ったのです。見ず知らずの若者が自分の作品を認めてくれたことは、自分の描くものが間違っていなかったという自信を守一に与え、その心境を大きく前進させたに違いありません。 主題の形態は単純になり、短いタッチでまとめられるようになりました。画面からは陰影が消え、それを補うかのように赤い輪郭線が塗り残されます。 はじめは濃淡があった色面も、やがて単色で統一されるようになりました。守一が瞬間的にとらえたその色彩は誰にもまねのできない、それこそ「天与の色彩」です。描かれている形態は、長い時間をかけて守一が捉えた「究極のかたち」です。この画風にいたった時、守一は60歳になろうとしていました。そして、亡くなるまでその純化に邁進しました。 |
守一の日本画は、岩絵具を用いた厚塗りのものではなく、彩墨による淡彩です。守一は油絵の制作にはとても時間をかけ、誰にも見られない夜間に好んで描きましたが、日本画は来客の見守る中、時には絵柄も求めに応じながら気軽に描きました。 伸びやかで、どこへ向かっていくかわからない自由な墨線が守一の真骨頂です。透明感のある彩墨の鮮やかさと相まって、魅力ある作品を生み出しています。 |
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| 第5章 変幻自在の書 | |||||
守一が好んで書いた書は、《蒼蠅》、《獨樂》、《人生無根蔕》などです。また、荘子や老子、禅などから引用した言葉もあります。木村定三氏は守一が書く文字に深い感銘を受け、書の制作を勧めました。とりわけ「ひら仮名は単なる記号で一字ずつには意味がない。私はこの意味を持たないひら仮名に意味を持たせることができたならば大いに面白いと思い、熊谷さんならそれができると思った」と、ひら仮名の書に対する強い思い入れを述べています。 紙面に躍る文字を見ると、守一の柔軟な発想や自由なこころを感じ取ることができます。書家とは趣の異なるひとつひとつの字が、無限の想像力を与えてくれます。 |
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・・・《関連イベント》・・・
■関連企画「獨樂-写真家・藤森 武がとらえた熊谷守一の世界」
2月2日(土)~3月23日(日)/晩年の熊谷守一と交流を深めた藤森武が撮影した写真25点を展示します/企画展示室
観覧料は「熊谷守一展」に含まれます。
■オープニング・トーク
2月2日(土)13時~14時/池田良平(天童市美術館学芸員、本展監修者)/企画展示室
聴講は無料ですが、企画展観覧料が必要です。
■句会「イメージを詠む - 熊谷守一の絵から」
2月24日(日)10時~15時30分/熊谷守一の作品から受けた印象を俳句に詠み、12時までに応募する。13時より選句と講評。
企画展示室、講堂/定員100名(高校生以上。当日先着順で講評会まで参加できる方)
選者:阿部完市(現代俳句協会副会長)、筑紫磐井(俳人協会会員)、鳴戸奈菜(現代俳句協会会員)、芦澤泰偉(装幀家)、
高橋比呂子(現代俳句協会会員)/協力:現代俳句協会/参加は無料ですが、企画展観覧料が必要です。
■講演会「自然人・熊谷守一を写して」
3月2日(日)15時~16時30分/藤森 武(写真家)/講堂/定員100名(当日先着順)/聴講無料。
■講演会「熊谷守一の虫の絵と西洋博物画をめぐって」
3月16日(日)15時~16時30分/奥本大三郎(埼玉大学教授)/講堂/定員100名(当日先着順)/聴講無料。
■担当学芸員によるギャラリートーク
2月16日(土)、3月15日(土)15時~15時30分/企画展示室/聴講無料ですが企画展観覧料が必要です。
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