トップ最新展覧会情報バックナンバー2008年8月, 東京>目黒区美術館「丸山直文展 後ろの正面」
 目黒区美術館「丸山直文展 後ろの正面」

《color of river》 2003年
綿布にアクリル
2点組・各113.5×340
金沢 21世紀美術館蔵
 本展は、国内外で高い評価を得る丸山の約20年の仕事を紹介する、美術館でははじめてとなる本格的な個展です。絵画があらためて見直されている今、見逃せない展覧会となることでしょう。
  • 会 期
    • 2008年9月27日(土)-11月9日(日)
  • 休館日
    • 月曜休館 10月13日と11月3日(月・祝日)は開館、翌10月14日と11月4日(火)は休館 (※10月5日(日)と19日(日)午後は、アーティスト対談が展示室内でおこなわれるため、一部の作品鑑賞に支障がある場合があります。あらかじめご了承ください。

開館時間

10:00-18:00(入館は17:30まで)

観覧料

一般800(700)円/大学生・65歳以上700(600)円/高校生500(400)円/小中生無料
( )内は20名以上の団体、障がい者と付き添い者(一名)は半額

■展覧会概要

《gray》 1992年 綿布にアクリル 194×314 いわき市立美術館

 丸山直文は1964年、新潟県生まれ。文化服装学院、セツ・モードセミナーをへて、イラスト画ではない純粋な美術を求めてBゼミで学びました。時代は「絵画は既に終焉した」といわれた頃。その影響下、丸山もまたコンセプチュアルな方向に関心を持ちました。 初期にはインスタレーション作品をてがけた丸山ですが、やがて思考優先の制作方法に違和感を感じ、つくることと思考が相互に関係をもちながら制作を進めるペインティングの世界に自らの適性を見いだします。

 丸山の絵画の特徴であるステイニング技法(下地処理の施されていない生のキャンヴァス地に絵の具をしみ込ませる技法)は、文化服装学院時代に買い込んだ綿生地にアクリル絵具をつかって描きはじめたことからはじまります。丸山の、ステイニング技法による生命形態を連想させる抽象的な絵画は、1992年の東京国立近代美術館『現代美術への視点:形象のはざまに』展の出品作家に選ばれるなど、個展やグループ展で一気に頭角をあらわしました。


《sachi 2》 1996年 綿布にアクリル 162×131 個人蔵

 しかし、 80年代のニュー・ペインティング以降の動向を担う中心的作家のひとりという高い評価を得ながらも、この頃の丸山は、抽象絵画の枠からでられずにいることにいらだちを感じていました。やがて丸山は、写真によって知り合いや両親のポートレートを描くことから徐々に具象の道に近づこうとこころみはじめます。そして、具象・抽象の区別にこだわらない、丸山自身の絵画をみつける機会をあたえたのが、1996年から、文化庁とポーラ文化財団の助成を得て過ごした、ベルリンでの2年間でした。帰国後の丸山は、現実の世界を別の世界へ移し替えた桃源郷とも言えそうな絵画を、あたかも息を吹き返したかのように次々に描き続け、その作品は「写実と抽象が共存する絵画」とも評されるようになりました。

《one evening 》 2008年 綿布にアクリル 291×181.8 作家蔵

 本展のサブタイトル「後ろの正面」は、丸山が初期作品のシリーズに自らつけたタイトルから。ステイニングで描いていると絵具が綿布に染みこみ、裏側が正面のような錯覚を感じたと、丸山は語っています。この言葉から「かごめかごめ」の歌を連想し、幼少の頃の懐かしい景色を思いだす方も少なくないかもしれません。溶け合う色面と線、判然としない場所と時間の中、いつか、どこかで見た不思議な懐かしさを感じさせる丸山の絵画。 しかし、それは、情緒的な表現欲求というよりも、理性的な絵画上の実験から生まれてきたものです。「後ろの正面」が相反する言葉の組み合わせであるように、丸山は、1枚の絵画のなかに、相反することを同時に共存させようとしてきたのかもしれません。

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