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 内覧会レポート!東京都現代美術館「スタジオジブリ・レイアウト展」

内覧会レポート!東京都現代美術館「スタジオジブリ・レイアウト展」 2008年7月25日、東京都現代美術館で開催された、内覧会の模様です。

夏休みも始まり、スタジオジブリ・レイアウト展もスタートしました!
ジブリアニメの傑作たちが生まれる前の大事な一仕事”レイアウト”。分業化がすすんだアニメ制作の現場において、最初に構図や作画の方針などを細かく練っていくことはとっても大事。
本展では、ジブリのアニメーターたちが心血注いだ”レイアウト”1300点を一挙大公開!

会期:2008年7月26日(土)~9月28日(日)




テープカットの模様。左から、東京都現代美術館館長の氏家齊一郎氏、カオナシさん、「千と千尋の神隠し」千尋役の柊瑠美さん、株式会社スタジオジブリ 代表取締役プロデューサーの鈴木敏夫氏。

 宮崎監督は、アニメ界に入って45年。そのうち、15年間はレイアウトマンをしていました。
レイアウトとは、一枚の紙に、背景とキャラクターの位置関係、動きの指示、カメラワークの有無やそのスピード、撮影処理など、そのカットで表現される全てが描かれた映画の設計図とも言えるもの。
すなわち、レイアウトマンとは、映画の世界に例えるなら、カメラマン兼演出家の役割なのだそうです。

 
風の谷のナウシカ」。1984年 宮崎 駿 監督作品。
左: 不気味な巨神兵の姿。見覚えあるある。
右: オウムの眼の中にも、事細かに書かれた指示詳細。欄外にも、”(美術サマ)オームの自分の触毛の光をあびています。金色の光、全体にはくらいかんじに”との指示が。

 
左: 「天空の城ラピュタ」。1986年 宮崎 駿 監督作品。生き残りの心優しいロボット兵が守る、天空の城の庭園に生える巨木。余りの巨大さに、幹の中腹と天高く伸びた梢の先の2箇所に消失点があります。よって、木全体がエビ反って見えます。
右: 城が空中に浮かぶ様子、想像力を掻き立てられます。

 
左: 展示風景。レイアウト用紙自体はそんなに大きいものではありません。
右: 「となりのトトロ」。1988年 宮崎 駿 監督作品。左下、メイちゃんがとうもろこしを抱いて、お母さんが入院中の病院へ走り出すシーン。古き良き、日本の田舎の風景が広がります。

 
左: 「火垂るの墓」。1988年 高畑 勲 監督作品。冒頭、清太が三ノ宮駅構内で、ひっそり亡くなっていくシーン。現在、この駅は存在しませんが、当時の様子が忠実に再現されました。
右: 「紅の豚」より。1992年 宮崎 駿 監督作品。飛行機好きを公言する宮崎監督の趣味が昂じて出来た作品であると同時に、若手や新規スタッフが積極的に参加した作品。

 
左: アニメ制作に関する、用語解説もあります。聞きなれない専門用語もここでチェック!
右: 「平成狸合戦ぽんぽこ」。1994年 高畑 勲 監督作品。鉄塔に無数の狸たちがよじ登っているシーン。写真では分かりにくいですが、背景となる鉄塔部分と狸たちがいる部分は、別々のレイアウト用紙に分けられており、これは2枚を重ねている状態です。描き足したり修正していく中で、お互いが、ぐちゃぐちゃになってしまわないようにする為の工夫です。アニメ界、定石の技。

 
左: 「耳をすませば」。1995年 近藤 喜文 監督作品。柊あおいさんの同名少女漫画(集英社刊)が原作。作業の効率化を考え、他の作品よりも一回り小さなレイアウト用紙を使用。主人公は中学3年、受験生の月島雫(しずく)。将来の夢に、恋に、精一杯の中学最後の夏休みを描きます。瑞々しさ溢れる画面が印象的でした。
右: 「もののけ姫」。1997年 宮崎 駿 監督作品。「もののけ姫」の展示室の壁には、大きく引き伸ばしたレイアウトが!実際、”もののけの森”?に来たような感覚になります。

 
左: 本展ポスターにもなっている、ヤックルに跨ったアシタカ様。凛々しく勇壮なお姿。
右: あるレイアウト用紙の右上に書かれた宮崎監督のメモを発見!”オガさん ごめんなさい どうにも動画とパースがあいません。だめな時は、新作してください”の文字が、お願いポーズのぶたさんイラストと共に!

 
左: 「千と千尋の神隠し」。2001年 宮崎 駿 監督作品。トンネルの向こうに、実寸大?とも見紛うような”油屋”(八百万の神々が休息に集う温泉旅館のようなところ)が登場!不思議の町の出現に、わくわくです!
右: 壁一面、天井にも届く勢いで貼り絵めぐらされた「千と千尋の神隠し」レイアウト。ベルリン国際映画祭金獅子賞、アカデミー賞長編アニメーション部門賞などを受賞し、また観客動員数2350万人(現在も日本における興行成績歴代最高記録!)を記録したエネルギーがビシビシ伝わってきます。

 
近寄ってみます。右の写真下、油屋の厨房での一コマにて。手際よく材料を刻む調理人の手元の動きの指示”上手くくりかえしをすること。(アニメーターの条件!!)”の文字が。

 
左: 「ハウルの動く城」。2004年 宮崎 駿 監督作品。コンピューター・グラフィクスやハーモニー処理を組み合わせた、重厚感ある作品。舞台のイメージとなった実際のヨーロッパの街にロケハンしています。ジブリ作品には、こうしたロケハンが重要なのです。
右: 「アルプスの少女ハイジ」。1974年 高畑 勲 演出、宮崎 駿 場面設定・画面構成。全52話のTVアニメーション。高畑演出下、ほぼ全話のカットレイアウトを宮崎氏が担当。演出家の意図を的確に完成画面に反映することが出来る”レイアウトシステム”はこの作品から定着していきました。

 
今にも主題歌が聞こえてくるようです。どちらも大好きだったな~。
左: 「母をたずねて三千里」。1976年 高畑 勲 監督、宮崎 駿 場面設定・レイアウト。
右: 「赤毛のアン」。1979年 高畑 勲 監督。

 
左: 「じゃりン子チエ」。1981年 高畑 勲 監督。ホルモン焼き屋の店内がリアルでおいしそう!
右: さあ、お待ちかね!ジブリ最新作「崖の上のポニョ」の登場です!CG全盛の時代において、あえて手描きで挑んだ作品。全編中8割を占める海や台風、津波のシーンを表現するのに、約101分の映画で、なんと17万枚を超える動画が描かれたそうです!

 
左: こちらもポニョの続きです。ポニョたちの住む海の周りの地形が事細かに設定されています。
右: エンディングのクレジットが流れるシーンの下絵。偉い人も、そうでない人も、み~んな50音順に名前が並べられているのだとか。

 
左: 宮崎 駿 監督の制作秘話?トーク映像も。 
右: レイアウトと並べて、完成した映像と見比べられるコーナーもあります。

  
おまけ
地下会場には、写真撮影OKのコーナーがあります。
壁面に遊びゴゴロ!小さなトトロたちと一緒に写真が撮れます。これは嬉しい&かわいい♪
トトロのお腹に乗っているかのような写真も撮れます!トトロのお家に続く緑のトンネルや、ポニョが入ったバケツもありますよ~。お子さんたち、大喜び間違いなし!!

 わくわくドキドキ、そして、ジ~ンと心温まるジブリアニメ。普段はめったに見ることができないレイアウトの数々が存分に堪能できる本展。アニメーターたちの手描きレイアウトには、アニメに掛ける情熱が隅々まで、ほとばしっています。
 最後に改めて。レイアウトには、曖昧な部分は一切存在しません。これぞ職人芸というべき素描力、各種設定を綿密に計画した上で、具体化していく妥協の無いストイックさが、数々の傑作を生み出していくのです。アニメのプロ集団、ジブリの精神を見ることのできる展覧会です。

[ text by Art inn編集部] 
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