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 内覧会レポート!朝日新聞創刊130周年・テレビ朝日開局50周年記念「巨匠ピカソ」展

 2008年10月3日、国立新美術館、サントリー美術館で開催された、内覧会の模様です。

 言わずと知れた20世紀の巨匠、ピカソの全貌を、2館に寄って、大きく2つのテーマに分けて展開していきます。

会期:2008年10月4日(土)~12月14日(日)

:国立新美術館 / 右:サントリー美術館


◆サントリー美術館 「巨匠ピカソ 魂のポートレート」
サントリー美術館では、初期の青の時代から晩年までの、ポートレートに焦点を当てて約60点を展示しています。ピカソの作品は、その多くが、自画像や自らの私生活を綴った日記であり、メタファーであると言われています。
 
左: ピカソ19歳の時、同郷出身でパリでも一緒にいた友人が、失恋によるショックからピストル自殺をしたことがきっかけとなり、悲しみを表す色、青の時代が始まります。
右: キュビズム時代の幕開け。ピカソは次第にアフリカ彫刻のプリミティブな魅力に惹かれていきます。(一番右手は、《自画像》1906年。)

 
左: いかにも獰猛そうなミノタウロスに、ピカソは幾度となく、自身を重ね合わせています。
右: 左手は、《影》1953年。ピカソの女性関係中、唯一、ピカソの精神的支配を逃れ、且つ、ピカソの元を自ら去ったフランソワーズとの別れから描いたもの。裸体で寝そべる女性をまるでのぞき見するように立ち尽くす影は、ピカソ自身を投影したものでしょう。
右手は、《接吻》1969年。ピカソ88歳の時の作品。2番目の妻ジャクリーヌと自身を描いたもの。歳を重ねてなお、愛をテーマに掲げます。激しくぶつかり合うような二人。かなり熱烈です!


◆国立新美術館 「巨匠ピカソ 愛と創造の軌跡」
国立新美術館では、8パートに渡り、約170展の作品が展示されています。
1904年から晩年まで、絵画や彫刻など、テーマも素材も様々な作品が揃います。
そして、何より、ピカソ芸術に無くてはならない、数々の女性たちからインスピレーションを受けた作品群が、大きな見どころです。

 
左: モンマルトルの芸術家の棲家、「洗濯船」時代の恋人を描いています。
絵の中には、恋人の名前やメッセージが描きこまれていたりします。
ピカソは、セザンヌを師と仰いで研究し、また、ジョルジュ・ブラックとの深い親交の中で、キュビズムの確立に没頭します。そしてさらに、シュルレアリズムにも影響を受けています。
右: ピカソの最初の妻、オルガの肖像です。バレエダンサーであったオルガとは、ピカソが美術を担当した、バレエリュス(ロシア)で知り合いました。当時のバレエリュスでは、戯曲をジャン・コクトーが書き、音楽をエリック・サティが担当するなど、そうそうたる顔ぶれでした。
ロシア貴族の娘であったオルガは、ピカソを上流階級に仲間入りさせますが、生来ボヘミアン気質であったピカソは、次第に彼女から離れていきます。
(写真右手は、《肘掛け椅子に座るオルガの肖像》1918年。)

 
左: 楽器をモチーフにしたパピエコレ(包装紙や楽譜、新聞紙などを、支持体に貼り付ける技法)も。かわいらしい。
右: あらゆるタイプのピカソ作品が展示。本の挿絵や立体彫刻もふんだんに。
ひとつの方法だけに固執せず、あくまで自由で、創作に貪欲なピカソの姿勢が伺えます。

オルガと出会い、伝統的で古典的な技法に一時は傾倒したピカソでしたが、私生活のすったもんだに疲れ果て、その反動か、それまでとは全く異なった画風になります。
(写真左手は、《画家とモデル》1926年。その右隣は、《接吻》1925年。ピカソが生涯、繰り返し描いたテーマであり、欲望の象徴。)

 
左: カフェ・ドゥマゴで知り合った、カメラマンで画家の知的な恋人、ドラを描いた作品。モダンな印象。
ドラは、ピカソの同時期の若い恋人マリーには無い魅力を持っており、女性2人がピカソをめぐって争った事さえ、ピカソは創作の糧にしてしまったのでした。
右: 左手3点は、半獣半人のミノタウロスが女性に襲いかかっているところ。
右手は、ピカソが珍しくキリスト教をテーマに描いた作品。(《磔刑》1930年)

 
左: 右手は、ゲルニカの習作より。左手も、同じゲルニカから(《泣く女》1937年)。ピカソの奔放な女性関係に悩んだドラは、毎日泣き暮らし、病院に行くほどでした。
ピカソはそんなドラを、どうにかしてあげられなかったのでしょうか。描いてはいますが…。
右: ドラと別れた後も、次々に女性と付き合うピカソ。若い画学生、フランソワーズ(ピカソの子を2人を連れて、自らの意思でピカソの元を去って行った女性。)や、オルガ亡き後の再婚相手、ジャクリーヌ(当時26歳とピカソ70歳!)と出会います。
最後の章では、ピカソの父親らしい側面を垣間見れます。ガラクタや金属を寄せ集め、子供たちと遊ぶために創ったヤギのオブジェや、母と子をテーマにした作品が並びます。

モテモテピカソ、50代の頃の写真。

この頃、当時まだ17歳だったマリーと付き合い始め、その後子供をもうけますが、同時期にドラとも付き合っています。
91年間の生涯、ピカソは、数多くの女性と関係を持ち、創作の糧にしていきます。彼の生き方も創作も、強大な自己の生そのものだったのだと思います。

余談ですが、もし、ピカソのような(この際、モラルは置いといて!)バイタリティ溢れる芸術家のミューズになりたいかと問われたら、正直、複雑です。さぞかし刺激的な日々でしょうが、副作用が相当辛どそうなので!?


[ text by Art inn編集部]

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