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 展覧会レポート!東京都庭園美術館「イタリアの印象派 マッキアイオーリ展」

展覧会レポート!東京都庭園美術館「イタリアの印象派 マッキアイオーリ展」
[ text by 明孫浩, photo by Art inn編集部]
2010/1/21 UP


 19世紀イタリアはフィレンツェのカフェ・ミケランジェロ(凄い名前ですね)に集まる反アカデミックを主張する画家は一体どんな会話をしていたのでしょう。

 「美術学校?あんなのダメダメ。先生の真似で描いてもそれは真実じゃないよ。やっぱり光による明暗を表現出来なければそれは真実では無いよ。」「支配されていた時代の描き方をアイツらいつまでやっているのかねぇ。これからはイタリア統一の新しい時代なんだ。絵画にも革命が必要なんだよ!」
 こんな感じでしょうか?

会期: 2010年1月16日(土)~3月14日(日)


↑ 左手の作品:
アドリアーノ・チェチョーニ《カフェ・ミケランジェロ》1866年頃

 後にその絵画運動がマッキアイオーリと呼ばれる彼らの企画展が東京都庭園美術館で行われています。
 恥ずかしながら、私はマッキアイオーリと言う言葉を本展で初めて知りました。自然の中の光を描き、その一瞬を画面に表現する、それが斑模様(マッキア)に見える事からこの呼称が付いたそうです。また、マッキアには無法者と言う意味もあり、今までの絵画を壊す彼らの運動に喩えられるとの事です。

 絵画における光の解釈は文面上、印象派とほぼ同じ様に想像させられます。しかし作品から受ける感想は印象派の作品よりも色彩による明暗が強く、描かれている光からは人肌に近い温もりが感じらます。
 モチーフとして多く採用されているのは都会から離れて暮らす農家の素朴な日常。好まれて使われる色は土性顔料のアースカラーが多い様です。無法者と言う言葉の連想からだと、少々乱暴で不良っぽいイメージがありますが、その作品からは攻撃性の無い人間が穏やかに生活する事への尊さが伝わって来ます。

 幾つか気になった作品を紹介致します。

展覧会レポート!東京都庭園美術館「イタリアの印象派 マッキアイオーリ展」
右手の作品:
フランチェスコ・ジョーリ《水運びの娘》1891年

 本展パンフレットにも採用されている後ろ姿の女性が印象的な作品です。
 女性の衣服の深い色合いと背景の淡い色彩のコントラストが美しく、マッキアの名が示す通り斑に描かれた大地に目を奪われます。
 女性の髪は1本1本描き込んだかの様に写実なのに対し、背景は光の効果でデフォルメし、ふっ、と力を抜くように描かれています。ここまでの対比を作ると画面の世界観が崩れる恐れがありますが、それを壊す事無く見事なバランスが保たれています。 

展覧会レポート!東京都庭園美術館「イタリアの印象派 マッキアイオーリ展」
左手の作品:
テレマコ・シニョリーニ《リオマッジョーレの屋並》
1892-1894年

 私事で恐縮ですが、どの作品が一番好きかと聞かれたらこの作品を選びます。白の絵の具を多く使い、キャンパスの生地が見える程薄塗りの油絵ですが、それによる作品の軽さを全く感じられず構図が非常に面白い仕上がりになっています。
 決して細部に渡り緻密に描き上げた作品ではありませんが、画面からは精巧に描き込まれた印象があり、その事から画家の技術の高さが窺えます。

 手前から海まで伸びる屋根に掛かる空気遠近法を上手に使ったグラデーションや隙間から見える小さな窓の配置が印象的であり、日本人画家の黒田清輝氏の作風を彷彿させられます。 


展覧会レポート!東京都庭園美術館「イタリアの印象派 マッキアイオーリ展」
右手の作品:
シルヴェストロ・レーガ《母親》1884年

 風景画が多い当展の中において室内をモチーフした作品です。
 描かれている壁紙が庭園美術館の雰囲気と偶然のマッチングをし、そこに展示してあるのが相応しいと感じます。女性のドレスの青が何とも美しく、毛糸のピンクにも目を奪われます。
 作品の演出が非常に面白く、母親のドレスを踏んでいる子供の姿とそれを怒る事もなく優しく見つめる女性の表情から愛そのものが伝わって来ます。

 帰りにミュージアムショップでお土産を物色していると、太った猫が足元を通ったので店員の方に窺うと、良く通り道にしているとの事。こちらの庭園を住処にしているのであれば、何とも羨ましい身分の猫です。

東京都庭園美術館の許可を得て会場撮影をしています。
※無断転用は固くお断りします。


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