■ パラレル・ニッポン 現代日本建築展 1996-2006
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◆建築写真を通してバブル期以降の日本を考える 東京都写真美術館(以下:写美)の地下1階映像展示室にて、建築を題材にした写真及び映像の展示が行われる。この展覧会は、過去10年間の日本の建築を紹介していくもので、その名も「パラレル・ニッポン」。 タイトル通り“パラレル = 対”の構造で建築写真が展示していくものだ。 【積層の家】 設計:大谷弘明 撮影:岡本公二 |

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◆建築写真から社会を捉える 例えば、表参道ヒルズと、六本木ヒルズ。 国立広島原爆死没者追悼平和記念館と、国立長崎原爆死没者追悼平和記念館。 都市のオペラ施設と、地方の小さな文化施設。 長野県茅野市の茶室と、世田谷村と名付けられた住宅。 本展覧会はこれらの建築を、「都市」「生命」「文化」「住まい」という4つのセクションに区切って、対比的に展示している。また、展示される建築写真は、日本人が日本で建設したものだけではなく、外国人の建築家が日本人で建築したものや、日本人の建築家が外国で建築したものも含まれている。 その中には、建築に精通していない人にもその名を知られている、青木淳、安藤忠雄、伊東豊雄、黒川紀章といった著名な建築家の建築や、ルイ・ヴィトンやプラダ、JR京都駅ビル、病院や保育園など、建築に興味のない人でも訪れたことのあるような建築の写真も並ぶ。 そして今回の展示は、現在から過去10年の間に竣工された建築が対象。過去10年というと、いわゆるバブル期以前、バブルの真っ盛り、バブル崩壊後のポストバブル期と、社会の構造的な変化が起こった時期に対応している。政策的にも、都市モデルの在り方や価値が大きく変化した時期である。 本展覧会は、そのような日本の社会状況の変化に応じて、建築デザイン、そして建築をめぐる取り組みが、過去10年でどのように変化していったのかを、見て取れる構成になっている。なお、本展覧会は東京展示開催後には再編成され、今後10年に渡り海外各国を巡回するという。 ◆建築写真に見惚れる! 本展覧会には「写真表現としての建築」というテーマの展示コーナーもあり、そこには写美所蔵の美しいモノクロ写真が展示されている。これらは、1930年代から1980年代に撮られたもので、それぞれの作家の視点でもって捉えられた建築が、思い思いの手法で表現されている。 コレクションは、石元泰博による建設中の東京タワーを写した『東京 #175』、写真を入れるフレームも含めた表現を行った山脇巌の『建築習作』、取り壊される途中の建築を写した宮本隆司の『建築の黙示録』シリーズ、他にも荒木経惟による建築写真や、伊勢神宮や桂離宮の写真など、バラエティーに富む内容である。 ◆建築映像であそぶ! 本展覧会には、鑑賞だけでなくお楽しみの要素もたっぷりとある。まず1つが、『スピンドーム900』という、バーチャルリアリティの空間装置。これは、360度撮影可能なカメラにより撮られた映像を投影する空間的な装置で、映像が投影される球体部分に頭を突っ込み、その球体を回転させる把手を回すことで、自分の見たい方向の映像を自由に見ることができるという、実に画期的な装置なのである。 この装置には、六本木ヒルズと表参道ヒルズの風景の映像がおさめられており、約4分に渡り、自分がそれぞれの敷地内を歩いているかのように、好きな方向の風景を見ることができるのだ(ただし、見たい方向側に、把手を回転させなくてはいけない)。 また、展示室巨大モニターには、記録映像の中に登場する建築の映像や、アニメーションで紹介されているユニークな空間体験の映像など、さまざまな要素の建築映像が流れている。また、ミュージシャン・KEN ISHIIのPVや、愛知万博の映像などを手掛けたCGアーティスト・森野和馬により、本展覧会のために作られたモーショングラッフィクスも上映されている。
Text: Shinobu Sasaki
※この記事は以下の取材を参考としています。 10/20 「パラレル・ニッポン 現代日本建築展 1996-2006」レセプション時 ◆所感:「建築写真を眺めてみて…」 ◇所感1/ Text: コンちゃん ※プロフィール参照 華やかな建築も魅力的だけど、僕は、廃校を改築して作られた「アルテピアッツァ美唄」の建築が非常に好きです。なんでもここは、体育館や校舎が、アートスペースとして再生され、コンサートや作品展示が行われているのだとか。 そういえば、レセプションで解説をしてくれた三宅理一教授(慶應義塾大学)は、「リサイクルだとかリユースは、ひと昔前ならば“これが何で日本の建築なの?”なんて軽んじられていましたが、今はそういう行為が価値を持つ時代です」と、おっしゃっていましたねえ。 バブル期は、うんとお金をかけた建築が豊かさの象徴で、そして文化的リーダーであるかのように捉えられていましたが、実際はそうではありませんよね。あるものをうまく使ったり、自然との共存を成功させている建築に、僕は魅力を感じます。 それと、「写真表現としての建築」の展示も良かったですねえ。今はもう取り壊されてしまった日比谷映画劇場や有楽座が映った写真があってね。少し、ノスタルジーな気分になりましたよ。 こうして眺めていくと、建築とともにその時々の出来事も思い出されますね。そうそう、担当学芸員の方もおっしゃっていたように、確かに、建築は社会とともに変化していますね。それを強く感じます。 ◇所感2/ Text: テンちゃん ※プロフィール参照 一対に並べられた建築写真の間には、必ず解説文が配置されているので、見応えだけではなく、読み応えもある展覧会でした。例えるならば、まるで“巨大な建築マガジン”を見ているような。 解説と一緒に見ると、日常では気に止めなかった街の中の建築が、美術作品であるかのように見えてくるから不思議ですね。でも、美術鑑賞としても利用される姫路城や法隆寺も建築ですよね。もとい、家や寺ですよね。 そう考えると、これらの建築物をアートとして鑑賞しても間違いではないですよね。でも、人が利用しているビルや家を、まじまじ見ていたら怪しまれますので、そこは本展だけにとどめておきますが…。 そうそう、本展には“木の上の家”ことツリーハウス「高過庵(たかすぎあん)」の写真もあるんですよ。高恐怖症の私は実際の見学には行けませんので、写真でたっぷりと楽しみました。 あ! それと、『スピンドーム900』はおすすめです! 本当に把手を回すことで、全方位が好きなように見られるんですよ。ただし、ぐるぐる回しすぎると、少し酔います。まるで、メリーゴーランドでハンドルを回しすぎた時のように。 ちなみに、風景にあまり人が映っていないのは、早朝に撮影したからだとか。そんなミニ情報を、撮影や編集に参加した、筑波大学岩田洋夫教授のゼミ生さんが教えてくれました。いやいや、学生さんご苦労さまです。 |
![]() 2003年 【プラダ ブティック青山】ジャック・ヘルツォーク/ピエール・ド・ムーロン/株式会社竹中工務店 撮影:Nacasa & Partners Inc. (ナカサアンドパートナーズ) ![]() 2001年【メゾン エルメス】設計:レンゾ・ピアノ・ビルディング・ワークショップ/レナ・デュマ・アルシテクチュール・インテリユール/アラップ/株式会社竹中工務店 撮影:SHINKENCHIKU-SHA ![]() 2005年【日本国際博覧会 トヨタグループ館】みかん組/大林組 ![]() 1997年【新国立劇場】柳沢孝彦/竹中・フジタ・西松・ナカノ・シャール特定建設工事共同体 ![]() 【アルテピアッツァ美唄】 ![]() 1981-1989年【山の手線・29 有楽町】撮影:石本泰博 ![]() 1985年【筑波科学博覧会パウ゛ィリオン、筑波1985】撮影:宮本隆司 ![]() 【写真論 1988-1989】より 撮影:荒木経惟 ![]() 【スピンドーム900】 |
「パラレル・ニッポン 現代日本建築展 1996-200」
■会期:2006年12月3日(日)まで
■開館時間:10:00から18:00 (木・金は20:00まで)※入館は閉館の30分前まで
■休館日:毎週月曜日
■会場:地下1階映像展示室
■料金:一般 700(560)円/学生 600(480)円/中高生・65歳以上 500(400)円
※( )は20名以上の団体および東京都写真美術館友の会会員、上記カード会員割引料金
※小学生以下および障害者手帳をお持ちの方とその介護者は無料
※第3水曜日は65歳以上無料
東京都写真美術館のホームページ











Illust: Shiro