「ぐりとぐら」1963年(中川李枝子・文/福音館書店) |

「ぐりとぐら」1963年(中川李枝子・文/福音館書店)
これほどまでに愛されている絵本は、他にあるだろうか? 1963年に初出版されて以来、通算で1千万冊を数える「ぐりとぐら」シリーズ。40年以上読み継がれ、今や2世代いや3世代目のファンが増えている不朽の名作が、展覧会になった。
同作の絵の作者である山脇百合子さんの、絵本と挿絵から選んだ23タイトル、約320に及ぶ原画を一挙に展示した「ぐりとぐらとなかまたち 山脇百合子絵本原画展」が、宮城県美術館で開催中だ。
「ぐりとぐら」シリーズを中心に、「そらいろのたね」や「ゆうこのあさごはん」など、山脇さんの代表作を展示。生き生きとした線や鮮やか色彩など、完成された絵本にはない、原画だから見えてくる表情は、新しい感動を呼ぶ。
ファンには、好きな作品の原画を見る喜びがあり、まだ知らないという人が訪れたら、絶対「ぐりとぐら」が好きなる展覧会。会期中は、担当学芸員が展覧会を案内する「展示解説」や、「ぐりとぐら」の服を着て「ぐりとぐら」の気分を体験する「ぐりとぐらに変身!」といった、楽しい、関連イベントを併せて開催。ご家族揃って楽しんでください。
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宮城県美術館の正面玄関には、「ぐりとぐら」のパネルが来場者を迎えてくれる。
2匹の野ねずみと、なかまの動物たちが、さまざまな冒険や遊びを繰り広げる「ぐりとぐら」シリーズ。1963年、雑誌「母の友」に掲載された「たまご」という読み聞かせのための物語で、「ぐりとぐら」は産声をあげた。森の中で大きなたまごを見つけた2匹の野ねずみの話は、やがて「ぐりとぐら」の絵本となり、現在も続く人気シリーズとなった。
1962年、実の姉である中川李枝子さんが、文章を手がけた童話「いやいやえん」は、挿絵を描いた山脇百合子さんのデビュー作。厚生大臣賞などに輝く記念すべき作品で、続いて1963年に発表した「ぐりとぐら」は、実の姉とのコンビを決定付ける絵本となった。
擬人化された動物と、子どもたちが同居し、リズミカルで歌のように語られる、摩訶不思議な世界。私たちの住む現実世界と、どこか地続きなのではないかと思わせる、何とも身近な感じが「ぐりとぐら」の魅力だ。本展覧会では、原画ならではの筆のタッチや色彩の微妙なグラデーションなど、完成された絵本では見られない魅力があり、さらに絵本では使われなかった未公開の絵なども展示した、貴重な展覧会である。
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展示作品の紹介
「ぐりとぐら」
1963年(中川李枝子・文/福音館書店)
記念すべきシリーズ第1作。作者にとっては初の多色刷り(カラー)作品で、山脇(当時・大村)さんは、東京・上野の国立科学博物館に通い、ねずみの標本を観察して、主人公「ぐりとぐら」の参考にしたという。とにかく大きな卵で作ったカステラが、フライパンから姿を現した時の幸せな気分は「永遠に不滅」である。
「そらいろのたね」
1964年(中川李枝子・文/福音館書店)
一粒の小さな種から出てきた芽は? 何とお家! 植物のように家がどんどん大きくなるというユニークな発想を見事に視覚化した作品で、「ぐりとぐら」同様に人気が高い。「いやいやえん」や「ぐりとぐら」の登場人物が“ゲスト出演”しているので、お見逃しなく!
「ぐりとぐらのおきゃくさま」
1966年(中川李枝子・文/福音館書店)
雪に覆われた森の中で見つけた巨大な足跡。その正体は? 足跡を追って「ぐりとぐら」の楽しい冒険が始まる。最後までなかなか姿を現さない足跡の主(実はサンタクロース)に、わくわくドキドキさせられるクリスマスシーズンに欠かせない1冊。
「ゆうこのあさごはん」
1971年(山脇百合子・文/福音館書店)
絵だけでなく山脇さんが文章も手がけた作品。当時、3歳だった作者の娘さんの朝食の風景から閃いたという冒険は、素朴にしてファンタスティックに展開し、読み聞かせているおかあさんたちにも“夢”を与えた名作である。
「おひさまおねがい チチンプイ」
1991年(中川李枝子・文/福音館書店)
遊びを通して、子供たちの無邪気な一面を、生き生きとした表情で描いた作品。草花と戯れる子供たちを介して見えてくる、自然の楽しさと豊かさ。教訓を押し付けたりしない語り口に、ソフィスティケイトされた美しさを感じる。
「ぐりとぐらの1ねんかん」
1997年(中川李枝子・文/福音館書店)
題名の通り、カレンダーの絵を絵本にした作品。通常、姉の中川李枝子さんの文章を読んだ山脇さんが絵を描くのだが、本作は先に絵が仕上がり、そこに中川さんが詩を付けている。季節感が実に良く表現されていて、特に12月は、1年の終わりを迎える気分になってくる不思議な感慨を覚える。
「ぐりとぐらとすみれちゃん」
2000年(中川李枝子・文/福音館書店)
「ぐりとぐら」が大好きだった、すみれちゃんは、4歳で他界した実在の少女。せめて、すみれちゃんに絵本の中で思いっきり楽しんでもらおうという思いから誕生した作品で、山脇さんは、すみれちゃんの写真を見ながら、本作の主人公・すみれちゃんを描いたそうだ。すべてのページが慈愛に満ちた珠玉の名作である。
「ぐりとぐらのうたうた12つき」
2003年(中川李枝子・文/福音館書店)
先に紹介した「ぐりとぐらの1年間」とは趣向を変え、「ぐりとぐら」の12ヵ月が紹介される楽しい絵本。歌のような物語のような、弾むような文章が何ともいえない味わいで、メロディーはないが、頭の中で歌ってしまう不思議な作品である。
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展覧会は、楽しいことがいっぱい! みんなで来て来て!
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1.関連イベントで人気の「ぐりとぐらに変身!」(撮影用「ぐりとぐら」コスチュームは市内の専門学校の手作り)コーナーに訪れた星さんご一家。おばあちゃん、おかあさんに子どもたち。みんなが好きな本は「ぐりとぐらのおきゃくさま」だそう。
2.グッズ売り場で見つけた「ぐりとぐら」の人形は、スタッフの愛妻手作り!「ぐりとぐら」にはフィギュアなど、キャラクター商品が一切ないのも作者のこだわり。
3.お土産のオススメは図録とバッグのセット(1,800円)。そのほか、「ぐりとぐら」の絵本、カルタ、絵はがき、バッジなど可愛いグッズがいっぱい!
4.1階のレストランでは、会期中限定の特別メニューが人気。写真は「ぐりとぐらのごほうびセット」。牛ヒレステーキ(きのこソース)、えび&カニ爪フライ、温野菜にポテトサラダと盛り沢山の一皿。野菜サラダとデザート&コーヒーが付いて1,650円は大満足の一品。
5.「ぐりとぐらのごほうびセット」のデザートは、チョコレートムースにフルーツ。フランボワーズ(ラズベリー)ソースのチョッピリ野生的な香りがチョコとの相性がピッタリ!
6.オススメは「ぐりとぐらのピクニックボックス」(1,000円)。中身はご覧の通り(写真をクリック!)、サンドイッチ、鶏のから揚げ、ゆで卵などに、バナナとジュース、クッキーまで入り、さらに「ぐりとぐら」のシールがおまけについている、嬉しいテイクアウト・ボックス。
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「ぐりとぐらのうたうた12つき」2003年(中川李枝子・文/福音館書店)

◆Q1 「ぐりとぐら」はいつ生まれたの?
◆A 「ぐりとぐら」が産声を上げたのは1963年、福音館書店の雑誌「母の友」に掲載された「たまご」というお話。登場する主人公の2匹のノネズミが「ぐりとぐら」です。雑誌ではモノクロページ(一色)だった「ぐりとぐら」を、カラー(多色)の絵本にるす際、絵の参考にと博物館でネズミの標本を見学し、この時とても印象的だったオレンジ色の小さなネズミが、絵本「ぐりとぐら」誕生のきっかけのひとつになったそうです。
◆Q2 「ぐりとぐら」はオスですかメスですか?
◆A 「ぐりとぐら」は双子の兄弟。つまり2匹とも男の子です。作者の中川李枝子さんは、5人きょうだいの2番目で、実の妹である山脇百合子さんは4番目。季枝子さんは、きょうだいに囲まれながら、年齢的にも対等な“双子”にとても憧れていたそうで、その想いを「ぐりとぐら」に託したと語っています。
◆Q3 なぜ「ぐりとぐら」という名前なの?
◆A 中川李枝子さんが、昔読んだフランスの絵本の中の、ノネズミたちが大騒ぎして歌う場面で、その歌に「ぐりっぐるぐら、ぐりっぐるぐら」というリフレイン(繰り返し)があり、「ぐりとぐら」はそのフレーズがもとになって名付けられたそうです。
この絵本を読み聞かせに使うと、リフレインのところで、きまって子供たちが一緒に「ぐりっぐるぐら、ぐりっぐるぐら」と言ったという。「ぐりとぐら」は、主人公の名前だけでなく、子供たちを惹きつける呪文だったのかもしれません。
◆Q4 ネズミってワルモノ?
◆A 中世ヨーロッパでは、ペストなどを撒き散らす害獣としてネズミは恐れられていました。日本ではどうでしょう? ネズミは干支の最初(子年/ねどし)で干支頭(えとがしら)とも呼ばれ、また子沢山なことから繁栄をもたらす縁起のいいものでした。あるいは、米蔵を住処(すみか)することから、子年生まれの人は「食いっぱぐれない」といわれてきました。
このようにネズミは、地域によって「いいもの」と「わるいもの」の両方を象徴していますが、「ぐりとぐら」はどちらでもありません。「おりょうりすること、たべること」が一番好きな、ノネズミです。
◆Q5 「ぐりとぐら」の四季ってなあに?
◆A 「ぐりとぐら」の絵本は、四季を表しています。春が「ぐりとぐらのえんそく」、夏が「ぐりとぐらのかいすいよく」、秋が「ぐりとぐら」、冬が「ぐりとぐらのおきゃくさま」と4冊で「ぐりとぐら」の四季が完成です。シリーズは他にもありますが、この4冊が基本ではないでしょうか。
※参考文献:「ぼくらのなまえはぐりとぐら」(福音館書店)、図録「ぐりとぐらとなかまたち 山脇百合子絵本原画展」
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~“余白”が物語るやさしさに感動!
「ぐりとぐら」なら一言云わせて! というファンが展覧会に多く訪れていると思い、声をかけて「ぐりとぐら」の魅力は? と問うと、皆さん「一言では云えない!」という面持ちで言葉を探しあぐねてしまいます。言葉にならない「ぐりとぐら」の素晴らしさって何でしょう?
今回の展覧会で改めて感じたのは“余白”です。絵の描かれていない白いスペース。絵本としての完成品には、余白に文章が印刷されていますが、それ以外にも山脇さんの作品には“余白”があります。
例えば主人公の人物(動物)を取り囲む背景ですが、主要な小道具(この小道具がまた素敵!)以外は、必要最小限に“敢えて”抑えてシンプルにしようと心がけたのではないかと感じました。室内の風景では、実際に絵本を開いた子どもたちの身の回り(環境)を拒絶するような調度品などがなく、読んでいる場所と絵本の世界が、自然に溶け込むような効果を生んでいるのではないか。貧しくても豊かでも、どんな子どもでも、今居るところから自由に想像を膨らましてほしい、そんな作者の願いを感じた気がします。
読者(子どもたち)のイマジネーションを信じて、描きすぎない潔さ。与えすぎは想像力を奪ってしまう! という大事なことを学んだ思いです。山脇さんの作品の“余白”には、子どもたちの無限に広がる想像の世界を見守る、やさしさを見つけました。

展覧会の会場に響く、子どもたちに笑い声、その後ろにゆっくり歩を進める若いお母さんとお父さん。そんな親子を微笑ましく眺めるお婆ちゃん。三世代をつないでいるキーワードは唯一つ、「ぐりとぐら」だ。このように「世代を超えている」と感じる展覧会に、かつてお目にかかったことない。
TEXT by Sakae Ishikawa
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開催期間
2007年4月14日(土)~6月3日(日)
開館時間
午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日
月曜休館(ただし、4月30日(月)は開館)
観覧料
大人=800(700)円、大学生=400(300)円、高校生以下=無料、( )内は、20名以上の団体料金
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展覧会関連の催し物
●展示解説
担当学芸員が展覧会をご案内します(約50分)。
4月22日(日)、5月6日(日)、5月20日(日)、6月3日(日)、いずれも午後2時~。
※観覧券をお求めの上、展示室入口にお集まりください。
●作品鑑賞会「ゆうこのキャベツぼうし」対象:10歳以上、定員:各回20名
「ゆうこのキャベツぼうし」の絵本が完成するまでの構想の展開を、いつもの展示では見ることのできないラフ・スケッチ帳の各ページを見ながらたどります。
4月21日(土)、5月5日(土・祝)、5月19日(土)、6月2日(土)、いずれも午後4時30分~(映像室に集合し、閉館後の展示室で作品を鑑賞します)。
※事前の申し込みが必要です。詳しくは美術館にお問い合わせください。
●ワークショップ「ぐりとぐらの景色を描こう」対象:小学生以上、定員:各回15名、場所:創作室いろいろなおはなしに登場するぐりとぐら。今日はどんな景色の中にいるのかな?美術館のまわりを歩いてから、自分だけのぐりとぐらの絵を描いてみましょう。
4月15日(日)、4月29日(日・祝)、5月13日(日)、5月27日(日)、いずれも午後1時~。
※事前の申し込みが必要です。詳しくは美術館にお問い合わせください。
●「ぐりとぐらに変身!」対象:1歳半~6歳、場所:エントランスホール
小さいお子さんを対象としたコーナーです。ぐりとぐらの服を着て、ちょっぴりぐりとぐらの気分を体験できます。
毎週土・日曜日、祝日 午前11時~午後3時。
※撮影をされる場合、カメラはご持参ください。
●公演会「絵本を聴く」場所:中庭(雨天の場合はエントランスホール)
絵本の朗読と、若いプレイヤーたちによるオリジナル曲演奏のミニ・コンサートです。原画を見てから、あるいは見る前に、絵本を耳で聴いて楽しんでみませんか。
■プログラム:「ぐりとぐら」、「そらいろのたね」、「ぐりとぐらのうたうた12つき」
4月30日(月・祝)、5月3日(木・祝)、5月4日(金・祝)、5月27日(日) 各日とも12時~。
※マタニティの方の優先席をご用意しています。ご希望の方は美術館にご連絡ください。
●ワークショップ
開館中はいつでも創作室で絵を描いたり塗り絵をしたりすることができます。その場でスタッフに相談してみてくださいね!
電話
022-221-2111
開催場所
宮城県美術館
〒980-0861 宮城県仙台市青葉区川内元支倉34-1
交通案内
仙台駅西口バスプール仙台市営バス16番乗り場から交通公園行に乗り「二高・宮城県美術館前」下車、青葉通荘内銀行前から宮城交通バス・川内方面運行路線に乗り「二高・宮城県美術館前」下車
JR仙台駅からタクシーで約10分
東北自動車道・仙台宮城I.C.より約15分
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おまけ~仙台での食事もアートに!
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宮城おみやげ「とんかつの豚」ポストカードを、3名様に、5枚1組でプレゼントします!
仙台へ訪れ、美術館の取材だから趣向を凝らした訳ではありませんが、かの地へ寄った際、絶対に行きたいのが、とんかつの「大町」(おおまち)というお店。写真1は、かの山下清画伯が、来店した際に描いた色紙(ね? 美術つながり)で、写真2は「大町」名物の、どデカイとんかつ「元帥とんかつ」(ロース)。山下画伯は、順位を付ける時、兵隊の位を付けたそうで、文字通り「大町」のとんかつは、味・量ともにトップである「元帥級のかつ」と称し、その位を与えられた逸品! 鉄板に乗ったとんかつは最後まで熱々で食べられ、肉質も上等、衣カリカリ、お店オリジナル・ソースも相性がいい。
ちなみにとんかつ上に載っているのは玉ねぎのフライ(甘くて美味!)。写真では分かりづらいが“かなり”の量なので、覚悟して注文すべし! 気になる方は、インターネットで「仙台 とんかつ 大町」で検索してみてください。




