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 内覧会レポート!東京都写真美術館「ヴィジョンズ・オブ・アメリカ 第3部 アメリカン・メガミックス 1957-1987」

 2008年10月24日、東京都写真美術館で開催された、内覧会の模様です。

 全3部構成のうちの第3弾。50年代後半~80年代後半のアメリカには、様々なムーブメントが巻き起こりました。反戦、ポップカルチャー、ロック、ポストモダン…。それらは多くの写真家の創造意欲を掻き立て、多くの話題作を生み出しました。

会期:2008 年10 月25 日(土)~2008 年12月7 日(日)



標準時刻が5つも有る国、アメリカ。巨大かつ、人種のるつぼであるこの国の、50年代~80年代を写しだす本展。
ビート世代を代表する小説、ジャック・ケルアック『オン・ザ・ロード』が発表された1957年から、ポップアートのスーパースター、アンディ・ウォーホルが死去した1987年までの時代を中心に、5つのテーマに分けて構成されています。

1.路上
 
ケルアックの小説と、同名の章から始まります。
50年代~80年代、路上は、生の現実であり、外界と直接交われる場所として、様々なダイナミズムを生み出していました。

2.砂漠
 
砂漠を撮った作品が並ぶこの章。いい作品が目白押しです。
西部の砂漠を車で旅して撮った奈良原一高や、篠山紀信ら、日本人写真家の作品も展示。
荒涼とした砂の大地は、アメリカというよりも地球、地球というよりも別の惑星の風景のようです。

3.戦場
 

 

この章での戦場とは、様々な意味での戦いを意味しています。

ベトナム戦争激戦の様子を伝えた、沢田教一ら、従軍した日本人写真家たちの作品の他、人種問題に立ち向かうマーティン・ルーサー・キング、各界で戦う人々の姿が並びます。

また、印象的だったのは、オノ・ヨーコ、ボブ・ディラン、チェ・ゲバラのポートレートが3点並んだ壁。
まるで、現代の聖人を見ているかのような気持ちになります。

4.家
 
”家”そして”家族”の意味を問うような章。
ケネディ暗殺によって、アメリカン・ドリームを信じられる時代は終わりを告げます。
人々の繋がりや拠り所とは、一体どこを指すのでしょう。
左: ダイアン・アーバスは、人間の「真実」を描き出す中で、深く深く、ネガティヴな領域にまで降りて行きます。
中でも、クリスマスツリーを写した一枚は、かなり異様。一見幸せな家庭の一場面なのでしょうが、天井までそびえる、デコレーションされたツリーは、まるで、不気味なモンスターのようです。
また、愛国心ある国旗を持った青年の”イッてしまっている”眼が強烈です。
”ノーマル”と”アブノーマル”の境界線は紙一重であると、感じずにはいられません。
右: ナン・ゴールディンは、愛や性の問題、刹那的に生きる友人たちなど、自らの生活を取り囲む流動的な人間関係をテーマとします。ここで、彼女は、彼らを「拡大家族」と呼びます。みな、家庭的なものを喪失した若者たちで、被写体となった大半の友人たちは、90年代までに薬物中毒やエイズで死んでいます。

5.メディア
 
進化したメディアは劇場であり、人間の悲喜劇や月面着陸、戦争をも日常空間に映し出します。
現実と虚構の境は、益々曖昧になっていきますが、それを逆手に、メディアを操る作家たちが登場します。
アメリカの大量消費文化を、巧みにアートに取り込んだアンディ・ウォーホルをはじめ、シンディ・シャーマン、ロバート・メイプルソープ、そして、森村泰昌らの作品を展示。

 
左: 森村泰昌は、エディ・アダムズのベトナム戦争での路上公開処刑の写真からインスピレーションを受け、再解釈した作品を展示。
右: 各章の壁には、気になる言葉たちが投影されています。

 冷戦下、ロシアの核の脅威に怯えながらも、大量消費時代の只中で、中流階級の保守的な幸せの価値観に捉われていたアメリカの人々。そして、その価値観から必死に脱出しようと試みたビート世代の若者たち。

 そして、激動の時代に生まれるべくして生まれたカルチャーの数々。自分の居場所を求め、自由を渇望した破天荒な若者たち。その精神は、誰しも一度は通った道の上にありそうで。
『オン・ザ・ロード』が無性に読みたくなりました。分厚いけど…。


[ text by Art inn編集部] 

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