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 内覧会レポート!国立西洋美術館「コロー 光と追憶の変奏曲」

国立西洋美術館「コロー 光と追憶の変奏曲」2008年6月13日、国立西洋美術館で開催された、内覧会。

19世紀フランスの画家カミーユ・コロー。最初に感じた感情にまかせて描くことを大切にしたというその画風は、彩りこそ控えめではありますが、根底には、自然や人を愛する思いがぎっしりと詰まっているのです。

会期:2008年6月14日(土)~8月31日(日)



コロー45歳の自画像
左: コロー45歳の自画像。パレットと絵筆を持ち、
背景も単色で、シンプルに描かれています。画家の自画像によくみられる、ナルシシズム的なものはあまり感じません。

コロー『ローマ、フランス・アカデミーの噴水盤(ヴィラ・メディチ)』 コローの姪のマリー・ルイーズ・ロール・セヌゴン
左: 3年間、イタリアで絵の勉強をしていた頃の作品。左はコロー『ローマ、フランス・アカデミーの噴水盤(ヴィラ・メディチ)』。左はモーリス・ドニ『ヴィラ・メディチ、ローマ』。ともにローマの同じ場所の噴水を描いています。カラフルな色面により、画面を明るく構成するドニと比べて、コローは、黒をふんだんに絵画に登場させます。コローは影から描き始めます。それは、影が一番人の心を打つから、と作家はいいます。
右: コローの身近な人々の肖像画です。左の若い女性の絵は、コローの姪のマリー・ルイーズ・ロール・セヌゴン、当時16歳。この肖像画を描いた6年後、彼女は夭折します。それを受け、コローはもう一度、彼女の肖像画に取り組み、22歳の毅然とした姿を残すのです。
また、コローは、風景を主に描いていましたが、本展では、数多くの人物画が展示されています。冬、戸外で制作できないときなどに描いていたようです。

左はコロー、右はアンドレ・ドラン ”メランコリア”という物思いにふけるポーズ 
左: 左はコロー、右はアンドレ・ドラン。コローの風景画にドランが影響を受けています。
右: ”メランコリア”という物思いにふけるポーズ。頬杖をつき、また読書をしたりというポーズには、知的で物憂げな魅力があります。

コロー『青い服の婦人』 コロー『傷ついたエウリュディケ』
左: コロー『青い服の婦人』。1900年パリ万博で初めて公開され、コローの人物画の中でも、もっとも重要な作品といわれています。本作品を描いた時、コローは78歳、健康状態はあやういものでした。実物を観て、私が一番に感動を覚えたのは、青いドレスの深く濃厚な色味。青から緑にかけてのうつろいが、ドレスの中の黒く沈む影、背景の黄土色とベストマッチで、何とも豊かな表情を魅せています。
右:写真内右の作品 コロー『傷ついたエウリュディケ』。伝統的な「とげを抜く人」のポーズを取っています。柔らかそうな足の裏に、きれいな人が両手を添えています。

※『青い服の婦人』と『傷ついたエウリュディケ』のモデルは、ともにエマ・ドマニー。コローのお気に入りのモデルです。

「想い出(スヴニール)」と変奏のコーナー コローは年を取ってから、若い頃に旅した記憶やスケッチを元に絵を描いています ”クリシェ=ヴェール”という版画によるコロー作品も展示
左: 先ほどまでの展示会場から階段を下り、最後の章「想い出(スヴニール)」と変奏のコーナー。黄味の強いコローの絵に対して、壁に補色の紫を配したのでしょうか。作品がよく映えます。
中: コローは年を取ってから、若い頃に旅した記憶やスケッチを元に絵を描いています。観たままのリアルさを追求するのではなく、自分が感じたことを大切に、絵の中に盛り込みました。
右: ”クリシェ=ヴェール”という版画によるコロー作品も展示されています。皮膜で覆ったガラス版をニードル(針)などで引っかいて描き、むき出しになった部分を日光に当て感光させます。インクを使わないので、版画というよりは、写真に近いのかもしれません。大気の表現に適した手法と、コローも気に入っていた技法です。

コローのドローイング 国立西洋美術館「コロー 光と追憶の変奏曲」カタログは2,500円(税込)
左: 会場出て通路の壁に、コローのドローイングが。木炭のようなもので、ざっくり大きく構図を決めていく様が伺えます。
右: カタログは2,500円(税込)。本展で展示されていない作品も参考図版として、モノクロですが載っています。

晩年のコローは2つやるべきことがある、と言っています。それは、もっと描かねばならないということ。もうひとつは、周りの人をもっと幸せにしてあげたいということ。
心優しいコローの周りには、いつも彼を頼りにする人々が集まってきていました。画商も多く集まってきており、それはしばしば画業を圧迫することもあったようです。

また、コローは自身の作品を味わう手引きとして、こんなことを言っています。コローの作品世界に入り込むには、もやが立ち込めるのを待つことだと。時間はちょっとかかるかも知れませんが、皆さんも会場にお越しの際は、ぜひお試しいただきたい!と思います。コロー世界にどっぷりはまることができるかも♪


◆おまけ1
本展、カタログやチラシの表紙を飾る、コロー『真珠の女』。この作品中になんと真珠は登場していないのだそう!では何が真珠と思わせるのか??
額にかかった植物のシルエットが、真珠に見えるのだそうです。コローはこの作品を大変気に入っており、一生手元におき続けました。(Art inn注目の展覧会情報で作品写真をチェック!)

◆おまけ2
本展中、私の一番のお気に入り作品は、カミーユ・コロー《ヴィル=タヴレーのカバスュ邸》村内美術館1835-40年。
輝く坂道の向こうに、爽やかさや、輝く希望を感じます。遠近の抜ける感じがとても気持ちよく感じられる作品です。(Art inn注目の展覧会情報で作品写真をチェック!)

◆おまけ3
 
今日は6月だというのに、真夏みたいに暑かった~。最近、雨が降るか、暑いかのどっちかですね。国立西洋美術館の庭のロダンさんも、さぞかし暑かったことでしょう…。

[ text by Art inn編集部] 
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