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 内覧会レポート!東京都写真美術館「今森光彦写真展 昆虫 4億年の旅」

東京都写真美術館「今森光彦写真展 昆虫 4億年の旅」 2008年7月4日、東京都写真美術館で開催された、内覧会の模様です。

昆虫の歴史はなんと4億年!人間なんて、昆虫に比べたら、まだまだ青い?そんな地球の愛すべき大先輩を、美しく、且つ愛情たっぷりに30年撮り続けてきた人、今森光彦さんの展覧会です。

会期:2008年7月5日(土)-8月17日(日)



 この日、今森さん、ご本人によるプレスツアーということで、昆虫を30年間も撮り続ける方とはどんな方だろうと興味津々で臨みました。登場された今森さんは、見てのとおり、スポーティで快活、笑顔のステキな方で、ほっと?一安心。
 ちょっと分かりにくいですが、ジャケットの中に着込んでいらっしゃるTシャツの柄は、なんと今森さん作昆虫切り絵の図!かわいい!東京都写真美術館内ミュージアムショップ Nadiff x 10 (ナディッフバイテン)でTシャツや切り絵本を購入することができます。

 本展は3つのパートから成り立ちます。第1部は、今森さんが世界中駆け回って撮影した昆虫写真。第2部は今森さんの家の近くで撮影した身近な昆虫写真。最後に、その他 資料編。今森さん監修の映像資料や、昆虫標本、取材時のフィールドノート、愛用の機材など、今森さんの世界をより知る手がかりとなるコーナーです。

第1部 壮大な劇場 <世界昆虫記>より アフリカタマオシコガネのペア。1986年ケニアで撮影
第1部 壮大な劇場 <世界昆虫記>より
左: ルリマダラのサナギ。1989年マレーシアで撮影。葉の裏にたった1点のみでぶら下がっています。サナギのボディの表面は、見事なまでのメタリックカラーで、周囲の色をとことん吸収し、撮影している今森さんの姿も映りこむほどです。写真右手のカラフルなサナギは、今森さんのスタジオで、サナギに色とりどりの色紙を当てて色の変化の様子を撮影したもの。
右: アフリカタマオシコガネのペア。1986年ケニアで撮影。俗に言うフンコロガシです。ペアで転がす象のフンは、なんとソフトボール大!フンの上に乗っかっているのがメスで、転がしているのがオス。(それにしても、なぜメスはオスと共に転がさないのか。。)生のフンは土でコーティングされ、巣へと運ばれます。しかし、なぜにフンを転がすのか?の謎は未だ解明されていません。

ちなみに、古代のアフリカでは、彼らの転がすフンが太陽に見えたことから、このアフリカタマオシコガネを太陽神として崇めたのだとか。

アフリカタマオシコガネの生態 フンの断面
左: 引き続き、アフリカタマオシコガネの生態を追います。アフリカタマオシコガネは地中に巣を作るとき、何かにぶつかったらそこで立ち止まり巣にする性質を利用して、今森さんは、地中にガラス板を仕込み、中の様子を観察しました。
右: 写真右はなんとフンの断面!上にちょこんと乗っかっている白いのがアフリカタマオシコガネの卵。赤ちゃんが孵ってから、フンを食べて育つのだそう…。
今森さんはなんと8年間、3ヶ月づつアフリカに通い、アフリカタマオシコガネを撮影したのだとか。
また、これほどまでにアフリカタマオシコガネを詳しく写真に写したものは他に無いそうです。

キサントパンスズメガと彗星ラン。1990年マダガスカルで撮影 ジャングルで撮影されたシリーズの部屋
左: キサントパンスズメガと彗星ラン。1990年マダガスカルで撮影。
蛾は羽ばたきながら、長い長い口吻をこれまた長~いランの花粉管に差し込みます。
右: ジャングルで撮影されたシリーズの部屋。黒い壁と極彩色の主役級たちに、強い生気や湿度を感じます。右手に立っている方は、本展学芸員の関次さん。今森Tシャツ着用!

マノハナカマキリ。1990年ケニアで撮影 ルブレッセンスメダマヤママユガ。1990年マダガスカルで撮影
左: マノハナカマキリ。1990年ケニアで撮影。絹を裂くような音と共にカマを広げ、相手を威嚇するのだそう。解説する今森さん、とても楽しそうです。
右: ルブレッセンスメダマヤママユガ。1990年マダガスカルで撮影。
ぎょっとするような目玉模様。最初はこの目玉部分を隠すように羽を潜め、敵が近づくと、バッと目玉をむくのだそう。

第2部 身近な昆虫 <昆虫記>より 虫の卵シリーズ
第2部 身近な昆虫 <昆虫記>より
ここから、今森さんの家の近くで撮影された昆虫写真が展開します。先ほどまでのドギツイ世界とは一変し、柔らかい空気感、色調が広がります。
右: 虫の卵シリーズ。色も形も様々な卵たちが愛らしい。小さなものでは、直径0.5ミリ、たらこの粒くらいだそう。ここでは「卵の形をした」という表現は通用しません。

ヨウシュミツバチ。1985年撮影 今森さん10代のころの撮影
左: ヨウシュミツバチ。1985年撮影。蜜を体にためて巣箱に戻るミツバチを撮影するために、今森さんは自室に巣箱を設置し、その時を待ちました。何とも気持ちのいい一枚。
右: 今森さん10代のころの撮影。この頃から、ほとんど撮影スタイルは変わっていないのだとか。

トノサマバッタの羽化。1981年撮影 アキアカネ。1982年撮影
左: トノサマバッタの羽化。1981年撮影。マクワウリの畑で地面に這いつくばって撮影した渾身の一枚。ウリの実りの時期、羽化も最盛期を迎えます。
右: アキアカネ。1982年撮影。秋の高く澄み渡る空に、気持ちよく風に乗り連結飛行するトンボたち。今森さんは、何時間も何時間も粘り強く張り込んで撮影します。

今森さん愛用の機材 標本や撮影時のフィールドノート、現場にて  フィールドノート拡大図
その他 資料編
左: 今森さん愛用の機材。
中: 標本や撮影時のフィールドノート、現場にて。
右: フィールドノート拡大図。丹念に手書きで観察の様子を、図入りで記録。実際の昆虫を手に取るような分かりやすさ。

今森さんの長男、元希さんをつれて八重山を旅したときのスケッチ。1998年
今森さんの長男、元希さんをつれて八重山を旅したときのスケッチ。1998年

◆ 好きなことを仕事にするってこういうことなんだろうな~、と、昆虫について嬉々として語る今森さんの笑顔を見ていて思いました。
 写真家なのか、昆虫学者なのか、どっちなのかといえば、やはり今森さんは昆虫写真家なのだと思います。私はどちらかというと、昆虫は苦手な部類なのですが、今森さんの昆虫写真は、本当に美しい。実際、今森さんは、昆虫を美しいものと捉えていらして、彼らの最も美しい横顔を撮ろう!と奮闘されているのだそうです。これからどんな昆虫を撮影されるのでしょう。楽しみです。

なお、今森さんの写真展は都内で他2箇所で開催されます。
・「神さまの森、伊勢 日本の聖域・神社の杜」
2008/7/24~9/7 EPSON Imaging Gallery エプサイト
・「里山~未来におくる美しい自然」
2008/8/14~9/1 大丸ミュージアム・東京

※上記2会場と本展をあわせた3展覧会開催記念として、プリントラリーも開催されます。
実施期間  2008/7/5~9/7


[ text by Art inn編集部] 
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