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 内覧会レポート!三井記念美術館「NIPPONの夏―応挙・歌麿・北斎から「きもの」まで」

三井記念美術館「NIPPONの夏―応挙・歌麿・北斎から「きもの」まで」 2008年7月11日、三井記念美術館で開催された、内覧会の模様です。

絵画や工芸品の中に、いにしえの日本の夏を追体験できる、なんとも風流な展覧会です。

会期:2008年7月12日(土)~9月15日(月・祝)
前期 7月12日~8月10日、後期 8月13日~9月15日




本展は、夏の一日を時間の流れに沿い、4章構成で展示しています。 ※会期中、前・後期で大幅な展示替えがあります。
Ⅰ 朝の章 ~朝顔と涼の装い~
Ⅱ 日盛の章 ~涼をもとめて水辺へ~、~夏の祭礼と行事~、~夏のデザイン~、~涼のうつわ~
Ⅲ 夕暮の章 ~夕立と夕涼み~
Ⅳ 夜の章 ~夏夜の楽しみ―舟遊び、花火、蛍狩~
 

三井記念美術館 入口 千疋屋総本店
左: 三井記念美術館 入口です。
右: 1階には千疋屋総本店が。

Ⅰ 朝の章 ~朝顔と涼の装い~ Ⅱ 日盛の章 ~涼をもとめて水辺へ~
左: Ⅰ 朝の章 ~朝顔と涼の装い~
 会場入ってすぐの展示室。「涼の粧い」と題されたこの章には、女性が夏の朝の見繕いに使う、櫛や簪なども展示されています。
 中でも見所は、「夏の朝」葛飾北斎筆 江戸時代・19世紀 個人蔵。前期のみの展示。北斎50代の肉筆画で、北斎美人画の最高傑作といわれています。艶っぽく後ろ手に髪を整え、手鏡越しに覗く美人の顔、手前の鉢には朝顔が幾重にも重なって水に浮かび、奥の鉢には金魚が泳いでいます。(※注目の展覧会情報参照⇒コチラ

右: Ⅱ 日盛の章 ~涼をもとめて水辺へ~
 夏の涼といえば、水辺。激しく打ち付ける滝の水のしぶきは、なお一層の涼しさを演出します。滝の絵は前・後期各3展づつ展示されます。中でも前期の展示、「青楓瀑布図」円山応挙筆 天明7年(1787) サントリー美術館蔵は、遠景:正面に見える激しく落ちる滝、中景:覗き込むような角度の滝つぼ、近景:見上げる木の枝ぶり、といった三つの角度からの視点を巧に違和感無く一枚の絵に配置した応挙の技量が楽しめます。 また、江戸の祭礼の様子を描いた作品も展示されています。(※注目の展覧会情報参照⇒コチラ

 

Ⅱ 日盛の章 Ⅱ 日盛の章
上記、4枚の写真も、Ⅱ 日盛の章。夏らしい野菜や、関節まで本物忠実につくられた昆虫モチーフの精巧な工芸品、白×藍が爽やかな器たち、江戸時代・19世紀のぽっぴんが並びます。中でも私の眼を惹いたのは、薩摩切子のシリーズ。濃い藍色をつけた小瓶や鉢は、夏の我が家にも欲しくなる素晴らしさ。ちなみに「藍色薩摩切子小瓶」は、こんぺいとうなどの小粒のお菓子を入れて、振り出して食べるためのものだそう。つくづく涼のデザインとは、暑い夏を涼しく楽しく過ごす知恵なのだな~と感心。(※注目の展覧会情報参照⇒コチラ

歌川国貞筆 江戸時代・19世紀 千葉市美術館 歌川国貞筆 江戸時代・19世紀 千葉市美術館
こちらの2枚の写真は、歌川国貞筆 江戸時代・19世紀 千葉市美術館 のシリーズ。
背中に子どもを背負いつつ、長い髪をたらいの水で洗う母など、夏の日の母子の仲むつまじい様子が描かれています。とても大きなスイカや、蚊帳、行水、うちわなど、夏のキーワードがそこかしこに散りばめられています。

Ⅲ 夕暮の章 ~夕立と夕涼み~ Ⅲ 夕暮の章 ~夕立と夕涼み~
Ⅲ 夕暮の章 ~夕立と夕涼み~
夏の夕暮れ、突然振り出す夕立を描いた、「名所江戸百景 大はしあたけの夕立」歌川広重筆 安政4年(1857)神奈川県立歴史博物館蔵 7/12~8/3 (※注目の展覧会情報参照⇒コチラ)など、夏の昼から夜への時間の変化を追っていきます。
左: 写真右手、白麻地筏紅葉模様浴衣(しろあさじいかだもみじもようゆかた)は、筏を配することで水を想起させ、涼を誘うデザインが見事です。浴衣は、江戸時代のお風呂に入る時に着たそうです。また、当時のお風呂とはサウナ状の蒸風呂であったのだとか。浴衣は着古されることが多いので、現存するものはとても少ないのだそう。

Ⅳ 夜の章 ~夏夜の楽しみ―舟遊び、花火、蛍狩~ Ⅳ 夜の章 ~夏夜の楽しみ―舟遊び、花火、蛍狩~
Ⅳ 夜の章 ~夏夜の楽しみ―舟遊び、花火、蛍狩~
夏の夜にも、これまたたくさんのお楽しみがあります。花火や舟遊び、蛍狩に鵜飼、眠る時には蚊帳を吊り、夜が更けるのが惜しいほどに、夏の宴は盛りだくさんです。

お香の優しい香 「NIPPONの夏―応挙・歌麿・北斎から「きもの」まで」展の図録は1,700円 『日本の美術 ことはじめ』300円
ミュージアムショップにて。お香の優しい香が漂います。本展の図録は1,700円。右端の写真の小冊子は『日本の美術 ことはじめ』300円。お子さんでもたのしく読める、日本美術の解説書です。三井記念美術館での所蔵作品の保存の仕方など、興味深い内容が!

ミュージアムカフェ ショップ隣、落ち着きある感じの良いミュージアムカフェでちょっと休憩。展覧会の余韻に心地よく浸りながら、お茶でもいかが?

◆ クーラーも扇風機も無かった時代、いにしえの人々の涼を感じるための工夫や粋な計らいに、胸を打たれた思いです。物質的に涼を創り出すのではなく、視覚的に涼を創る。なんてエコロジー。先人たちに改めて大事なことを教わることができる展覧会です。皆様もぜひ!


[ text by Art inn編集部] 
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