トップ展覧会レポートバックナンバー2008年8月>内覧会レポート!東京都写真美術館「STILL/MOTION 液晶絵画展」
 内覧会レポート!東京都写真美術館「STILL/MOTION 液晶絵画展」

 2008年8月22日、東京都写真美術館で開催された、内覧会の模様です。

 シャープの協力を得て、液晶「アクオス」の大画面をふんだんに使用した本展。写真と映像の美術館として活動する東京都写真美術館の趣旨に叶った作家たちが、世界各国から集まりました。
写真が連続して動くことで、映像となり、動きがあるからこその表現が楽しめる展覧会です。

会期:2008 年8 月23 日(土)~2008 年10 月13 日(月・祝)



以下、気になった作品をいくつかピックアップして行きます。
 
左: ミロスワフ・バウカ BlueGasEyes 2004年
ポーランドの作家です。青いガスの炎がチロチロと燃え続ける映像。映像が映る白い支持体は、なんと一面に敷き詰められた塩。
アウシュビッツや民族の歴史の記憶を伴う、青(青い瞳は金髪と共に、アーリア人の美しさの象徴)、ガス、塩(大量の塩はポーランド人にとって不吉の象徴)といったモチーフが現れます。奥の白い壁には、どこかの”白い壁”を写した映像が写しだされています。
右: 千住博 水の森 2008年
もともとカラーの絵だったのを、一旦モノクロに置き換え、更に本展ではブルーの色味を掛けたという映像作品。静かな湖畔の美しい風景。


ジュリアン・オピー イヴニング・ドレスの女 2005年 他。
よーく眼を凝らしてみていると、瞬きしたり、眉を上下させたり、割と豊かな表情を見せてくれます。こちらに対して、表情を見せてくれているようで嬉しい。

  
サム・テイラー = ウッド スティル・ライフ 2001年 他。
果物や動物(うさぎ)が朽ち果てていく様子を超高速で見せる映像。私もいずれ、こうやって朽ちていくのだろうかと、我が身の結末を想像してしまった作品。

 
左: ヤン・フードン 雀村往東 2007年
国立新で開催中の「アヴァンギャルド・チャイナ」でも展示中の映像作家。国立新での水彩画のような耽美な中国とは打って変わって、ここでは寒村の風景が流れます。砂漠で獣の肉を喰らう犬たち、隙間風吹くような家で熱々の湯気の出た麺をすする夫婦。村で暮らす人々のモノクロの風景。これも中国のある姿なのでしょうか。
右: チウ・アンション 新山海経・二 2007年。機械的でシュールなBGMと共に、想像上の生き物や家畜舎、山水などが織り成す不思議世界のモノクロアニメーション。


ドミニク・レイマン YO LO VI(ゴヤ『異端審問』に倣って) 2006年
作品の中に鑑賞者が映りこむ作品。手前に膝まづくのは、異端審問に掛けられた異教者。鑑賞者である我々は、どうやら彼を裁く側に居るようです。実際の鑑賞者の動きと、作品中に映りこむ姿には、若干の時間差があり、作品中ではやや遅れて映し出されます。鑑賞者である我々は、自分の取った行動を後から目撃することになります。それは、己の行動には責任がある、という戒めのようです。


鷹野隆大 電動ぱらぱら2002/2008(上半身) 2002/2008年
鷹野氏は、若い男性のヌードを取り続けている写真家ですが、今回は、男女が服を脱ぎ、ヌードになっていくまでの過程の映像を展示。上下に切り張りされ、昔あった着せ替え絵本のようなつくり。何か、甘酸っぱい。鑑賞者自身が映りこめるものも有り。

 「動きがある」ことは、「静止画」とは違うそれなりの意味があるんだなぁと、改めて納得できた展覧会。時間軸を表現したい時、映像は威力を発揮し、必然性を増すのでしょう。


おまけ。写美さんの外壁に展示されている巨大な写真。植田正治、ロバート・キャパ、ロベール・ドアノーら、帰り道も巨匠たちの作品が見送ってくれます。

[ text by Art inn編集部] 


★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

Art inn注目の展覧会情報:東京都写真美術館「STILL/MOTION 液晶絵画展」はコチラ
Art inn美術館一覧:東京都写真美術館コチラ