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 内覧会レポート!横浜美術館「源氏物語の1000年 -あこがれの王朝ロマン-」

 2008年8月29日、横浜美術館で開催された、内覧会の模様です。

 まず、なぜ今年が「源氏物語1000年」といわれるのかについて。紫式部日記によると、今から1000年前の1008年には、すでに『源氏物語』は宮中で読まれていたとの記述があるから。1000年もの昔に書かれた小説が、今もなお、世界中の人々に読まれているのは、とってもすごいこと。その魅力とは何なのかを探るべく、先人たちが繰りかえし描いた『源氏物語』の絵、「源氏絵」を中心に展開する展覧会です。

会期:2008年8月30日(土)~11月3日(月・祝)



 
会場には、 当時の宮中生活を伝える道具類や紫式部の肖像画なども展示。
左: 国宝 紫式部日記絵巻 五島本第三段 絵・詞 [鎌倉時代/五島美術館] 8/30(土)~9/6(土)展示
展示期間が短いので、ご注意。宮中にて、複数の男女の姿が。男性が女性に言い寄っている様子が見られます…。
右: 御泔杯と御台。この杯に米の研ぎ汁を入れ、櫛を浸して髪を梳いて洗いました。

 
左: 『源氏物語』は、成立まもないころから筆写され、宮中にて読み継がれていきました。書き写す段階で、文章やページを飛ばしてしまうこともあり、後に改定本が作られました。
右: なんと、紫式部の直筆とされる「古今和歌集」の一部分。

 
 
ここから、豪華絢爛、雅やかな源氏絵屏風が続きます。
金雲のかかる宮中俯瞰の図は、当時の貴族たちの生活を垣間見せてくれます。金雲の陰には、どんな恋愛ドラマが潜んでいるのでしょう。紫式部はひた向きにこの時代に生き、宮使えする中、苦労も重ねながら、1000年の後にも読み継がれる、一大恋愛大長編を書きあげたのです。

 
左: 源氏物語 登場人物相関図。途中で、こんがらがってしまったら、ここでチェック!
物語は、血縁関係がかなり近いところで展開されている模様。それにしても、光源氏に絡む横線が、多いこと多いこと。
右: ふと目にとまったこの掛け軸。華やかさはなりを潜め、寂の境地です。匂宮と浮舟が小舟で川を渡るシーン。道ならぬ恋なのですね。

 
江戸時代に入り、木版で『源氏物語』が印刷されることにより、読本として、一気に庶民の間にも広がります。すごろくなど、玩具のモチーフとしても親しまれていきました。

 
近世に入り、またも多くの絵師たちが、源氏物語をテーマに描いています。
左: 血みどろ絵でお馴染みの月岡芳年による『田舎源氏』明治18年。
源氏物語とはだいぶ違った、どう見ても芳年の世界になっております…。
右: 源氏物語図貝桶 合貝。江戸時代のもの。貝合わせは女性の貞淑の象徴だったとか。

 
近世に入り、またも多くの絵師たちが、源氏物語をテーマに描いています。
左: マンガの題材としても数多く親しまれてきた『源氏物語』。『源氏物語』初心者の私には、こちらから入った方が良さそう!?
右: 世界各国で翻訳された『源氏物語』がずらり。シェークスピアにも引けを取らない、世界に誇れる文学なのです。


『源氏物語』の一節が、十数ヶ国語で朗読された音声が流れるコーナー。今も広く世界中で親しまれているのだと思うと、日本人として誇らしい気持ちに。

 
瀬戸内寂聴氏による、現代語訳『源氏物語』の書籍と、直筆原稿。流麗な文字で、幾度となく行われた推敲の跡が。現代日本人の著しい日本語力低下も危ぶまれますが、まずは、分かりやすく訳してくださったことに感謝。

 1000年も前の恋愛小説なのに、今も色あせないって、すごいことなのだと思います。きっと、今も昔も、人の心の根本はそうそう変わらないからなのでしょう。「恋愛のノウハウ」はきっと世界各国、時代を超えて、皆きっと関心のある部分。恋愛(人に対してだけで無く)は生きるエネルギーそのものですからね。
私たちも『源氏物語』から、生きるエネルギーを分けていただきましょう!


 
左: 図録は2,300円。源氏物語ミニコラムが、かゆいところに手が届く感じで面白いです。
より深く、『源氏物語』の世界について知りたい方に!
右: 横浜美術館外観。みなとみらい駅3番出口からすぐ。
横浜美術館カフェ小倉山では、2009年3月から個展が開催される、金氏徹平氏の作品を先行展示販売中。
売上金は、展覧会の製作費に当てられます。こちらもぜひ、お立ちよりくださいね。

[ text by Art inn編集部] 

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