2008年11月14日、開催された、内覧会の模様です。
「素晴らしき乳白色の地」によって、パリを、世界を魅了した、レオナール・フジタ。日本人でありながらも、フランスに帰化し、芸術活動に邁進したのはなぜか!?その秘密に迫る展覧会です。
◎会期:2008年11月15日(土)~2009年1月18日(日)
没後40年を記念し、出品総数約230点からなる本展。
1992年、フランスの倉庫でなんと63年ぶりに発見された、縦横3mの巨大な作品4点も、6年の修復期間を経て、
ついに日本で公開!
簡単にフジタの足跡を辿ると、1913~31年、最初のフランス時代。「素晴らしき乳白色の地」誕生までの、成功への道のり。
そして2年ほど、中南米を旅してから日本に戻り、戦争画を描いたことから、非難を受けます。
自らの居場所を求め、1950年、再びフランスの地を踏み、1968年、フランスにて没。
第1章:スタイルの確立 ― 「素晴らしき乳白色の地」の誕生
1913年、フジタ初めての渡仏。
パリで、モディリアーニと出会い、二人は南仏を旅をしたり、交流を深めていきます。
初期のフジタの人物画からは、モディリアーニの影響が強く伺えます。また、モディリアーニが描いた珍しいフジタの肖像も!
そして、1931年までの間に、フジタは日本のアカデミズムを払拭し、「素晴らしき乳白色の地」を確立させ、裸婦を描き、一躍、エコール・ド・パリの寵児に!
近寄って観ると、非常に繊細。滑らかなミルク色の絵肌に、極めてか細い線で輪郭を取り、薄墨のような淡い陰影でもって、立体感を出しています。よく編み出したな~と関心してしまう、独特な画法。
第2章:群像表現への挑戦 ― 幻の大作とその周辺

左から、《ライオンのいる構図》、《犬のいる構図》、《争闘Ⅰ》、《争闘Ⅱ》。いずれも1928年。フランス・エソンヌ県議会蔵 ©Conseil général de l'Essonne
2点1組で3m×6m。4枚合わせたら、横12mの超大作。巨大です。
画面いっぱいに、絡み合い、激しく取っ組み合う半裸、もしくは全裸の男女。そして動物たち。
この絵が、一体何を表そうとしていたのかは不明?とのことですが、ともかく、ものすごい迫力。
長い時を経て、それはひどい状態で発見された本作。会場には、フランス国家挙げての、気の遠くなるような修復映像も。
また、原寸大デッサンも展示。制作当時、フジタのアトリエには、筋骨隆々のモデルたちが集まっていたのだとか…。
当時、既に、裸婦画家として有名になっていたフジタ。
しかし、当時の絵画界のヒエラルキーでは、裸婦画は低い位置づけだったのだとか。逆に高い位置づけなのは、歴史画等で、概ね巨大な作品が多かったそう。
フジタは、単に流行作家としてだけではなく、ヨーロッパ絵画の歴史に名を残すような作品を創りたいとの想いから、これらの制作に至ったのではないかというお話。ポーズも、ミケランジェロ等、ヨーロッパの大御所に習っているようです。
また本展では、世界初公開《馬とライオン》や、フジタがこよなく愛した、猫たちを描いた屏風(東京会場のみ)も展示。
第3章:ラ・メゾン=アトリエ・フジタ ― エソンヌでの晩年
フジタが君代夫人とともに、穏やかな最晩年を過ごした、エソンヌ県の小さな家。
生涯、5人の妻を持つも、子供を持たなかったフジタは、付近の子供たちとの心温まる交流から、子供にちなんだ作品を生み出します。

左: アトリエ・フジタの再現コーナー。
壁一面に描かれた、フレスコ画の習作は、縮小版のプリントですが、絵筆やイーゼルなど、その他の物は、すべてアトリエ・フジタから。数々の傑作がここから…。
右: 手先の器用なフジタは、身の回りの物を何でも手作り。
衣服やベッドサイドの衝立、コートハンガーから絵付け皿、空き缶で作った可愛らしいイラスト入りジョウロまで!

1959年、キリスト教に改宗したフジタは、精力的に宗教画の制作に取り組みます。
左: 晩年のフジタが、全精力を注いで創った、ランスの「平和の聖母礼拝堂」。
本展では、教会内の様子をハイビジョン映像にて展示。壁一面に描かれた、フジタのフレスコ画にも迫ります。
右: 幾度となく下絵を練り直し、建築家たちと何度も話し合いを重ねた、制作過程の様子が伺えます。
教会の模型の他、再制作されたステンドグラスなども展示。細部まで、フジタのこだわりが行き届きます。
本当の意味で、フジタは、ヨーロッパの画家になりたかったんだな~、と思いました。あの独特な容貌も、彼の強いこだわりや意思の表れだったのかもしれません。
想いを想いのままで終わらせることなく、見事に具現化した、フジタのパワーに脱帽です。
最後に、フジタが自身を格言風に表した言葉から。
「欲すれば成る」
©Kimiyo foujita & SPDA,Tokyo,2008
[ text by Art inn編集部]
◎おまけ

上野公園は、紅葉真っ盛り!色とりどりの秋を感じながら、美術館めぐり&お散歩もGOOD♪
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