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 展覧会レポート!目黒区美術館「石内都展 ひろしま/ヨコスカ」

  国際的に活躍する写真家、石内都氏のこれまでの軌跡を追う本展。
地元目黒区に永くお住まいの石内さん。今回は、目黒区美術館の特徴を生かし、ご自身で設置。写真ならびに、その空間構成にも彼女の感性が伺える、またとない機会です。

会期:2008年11月15日(土)~2009年1月11日(日)



着物姿で颯爽と現れた石内さん。
低めの落ち着いた通る声で、本展を語ります。
石内さんの隣にあるのは、4章.同級生、横須賀での高校時代の同級生を撮ったシリーズ。みな女性ばかり、石内さんご本人を撮った写真も有ります。


左: 1章.絶唱、横須賀ストーリー
かつて米軍の基地の街だった横須賀。街中に、横文字の看板を見かけます。かつての繁栄はどこへやら、誰もこの街の風化は止められない、といった感じ。


2章.アパートメント
ぼろぼろのアパート内を、容赦無く映し出すカメラ。一人の若者の部屋に飾られた、山口百恵さんのポスターが印象的。

今にも崩れそうな壁や階段にドア、そして住人。

時間の経過による傷みなのでしょうか。彼らの生活は、現在の平均的暮らしから見ると、とても貧しそうに見えます。35ミリのモノクロで映し出される粒子の粗い写真は、黒い点々をたくさん表出させ、空気中にも消すことができない積年のシミを付けているかのよう。


3章.連夜の街
日本の古くからの赤線の古い建物の写真です。日本家屋にハート型の窓が穿たれていたり、玄関ホールがモダンな柄のタイル張りになっていたり。独特の空気感が漂います。

5章.1・9・4・76章.爪
1・9・4・7では、石内さんと同年の女性の身体の一部をクローズアップ、また、爪では、ささくれた手の指先や、角質が硬くなった足先を撮っています。


7章.さわるChromosomeXY8章.BODY&AIR9章.SCARS10章.INNOCENCE
このエリアでは、身体に残る大きな傷痕をとらえた作品が多数展示。
本当なら、目を背けたいもの、見てはいけないものといったタブー感が有ります。
老いる身体、傷付いた身体、人は無傷なままではいられないのでしょうか。
それらから目をそらすことなく、真摯に対峙した石内さんの鋭さや慈愛のようなものを感じます。

 
11章.Mother's
石内さんのお母さんの遺品を撮ったシリーズ。モダンでおしゃれなレースの下着や、真っ赤な口紅、ハイヒールなど、生前のお母さんの女性としての嗜みの部分だけでなく、部分入れ歯の写真まで展示。
真っ赤な口紅を撮るまで、石内さんはずっとモノクロ写真でしたが、「赤くなきゃ面白くない!」ということで、この写真を境にカラー写真がスタートします。
因みに、石内都という作家名も、元々はお母さんの旧姓の名。会場には23歳のころのお母さんの写真も展示しています。その頃のお母さんは、果たして”お母さん”なのか…。


12章.ひろしま
このシリーズでは、主に、被爆者が、被爆時着用していた衣服を撮っています。その時代にしては、かなりオシャレなんじゃないかと思われるセンスの良い服たち。
時に透過光を通して撮影しているのは、衣服の向こうのものまで撮ってやろう、という石内さんの想いから。また、高さ8メートルの自然光の入る壁に展示したのは、これらの遺品たちを、天に返してあげよう、と思ったからだそう。

 世の中一般的な美しいもの、綺麗なものとは全く異なる独自の視点で、石内さんは、美しいと感じたものだけを撮り続けています。
その視点は、死や負からはじまったものですが、それらはどうしようもなくドキドキさせ、感情を揺さぶるのだそうです。自分の感覚に素直に従い、衝撃的な写真を撮り続けてきた石内さん。これからさらに、どんな写真を撮っていかれるのか、楽しみです。


◎おまけ
目黒川沿いのマンションの灯り。
もうすぐクリスマスだからか、カラフルな照明で照らされて、まるでアート作品のよう♪


[ text by Art inn編集部] 


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