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 展覧会レポート!東京都庭園美術館「ポワレとフォルチュニィ 20世紀モードを変えた男たち」

東京都庭園美術館「ポワレとフォルチュニィ 20世紀モードを変えた男たち」 20世紀初頭、庭園美術館が建設された1930年代とほぼ同時期に、モード界に旋風を巻き起こした男性2人、ポール・ポワレとマリアノ・フォルチュニィ。ヨーロッパで起こった革新的な女性服のシルエットの変化とは!?

会期:2009年1月31日(土)~3月31日(火)

展覧会場風景

「夜会」をテーマに、建築家、内藤廣氏が空間プロデュース。当時、かなり斬新であった最新ファッションに身を包んだマネキンたちが「ようこそいらっしゃい。」とばかりにズラリ! 


ポール・ポワレ(パリで活躍)、下:マリアノ・フォルチュニィ(ベネチアで活躍)
上:ポール・ポワレ(パリで活躍)、下:マリアノ・フォルチュニィ(ベネチアで活躍)

ポワレはパリの比較的裕福な家庭に生まれ、幼い頃から華やかな世界を好み、運よくパリの高級服飾店でデザイナーとして働くことに。ポワレが勤めた会社は、当時としては保守的で高級志向のデザインを好んでおり、カジュアル路線のポワレはしばらくの間、認めてもらえませんでした。(彼の服はゾウリムシの様だなんて言われていた!)

やがてポワレは独立し、香水や化粧品の会社、テキスタイルデザイン会社など、「生活全体をコーディネートする」というコンセプトのもと、事業を展開。自分でデザインしたドレスを宣伝するために、美しいイラストに描かせ、顧客たちに配るなど、卓越したプロデュース能力を発揮しました。

フォルチュニィはスペイン、グラナダ生まれ。父は画家で幼い頃から芸術的な環境で育ちますが、父親の早い死をきっかけにパリへ。そして再び1890年、ベネチアに移住し、生涯のほとんどを同地で過ごしました。
フォルチュニィは、ファッションに特化した人物ではなく、絵画や彫刻、写真に舞台美術、舞台の照明装置の発明など、多岐に渡る活動をしていました。

東京都庭園美術館「ポワレとフォルチュニィ 20世紀モードを変えた男たち」 東京都庭園美術館「ポワレとフォルチュニィ 20世紀モードを変えた男たち」
まずは、フォルチュニィのドレスから観て行きます。

フォルチュニィのデザインの中心は、「デルフォス」という、絹サテンに細かなプリーツを施した素材を使ったものや、日本や中近東、古代ギリシャなどからイメージしたもの。
一見、イッセイ・ミヤケのプリーツ・プリーズか?と思いました。(汗)

「デルフォス」のプリーツの製法は特許を取っており、製法も文書化されてはいますが、その通りにしてみても、このプリーツはなかなか再現できないという代物。

平らに置くと、単にぺたっとした一枚の生地ですが、ひとたび人が身体に纏うと、プリーツがピタリと添い、美しい曲線や光沢が出現!人体の美しさを改めて再確認させられてしまう。

東京都庭園美術館「ポワレとフォルチュニィ 20世紀モードを変えた男たち」「デルフォス」はプリーツが長持ちするように、円筒形の箱に丸めて捻って保管します。販売時もこの状態。(現在でも、この手のテクスチャーのスカーフなども、こんな風に売られていますね。)
また、箱に小さなメモが添えられていますが、ドレス販売時にセットのベルトを付け忘れ、お客さんに後から送付する旨とベルトの巻き方を図解したものが、可愛らしい手書きイラストで書き込まれている、かなり珍しいもの♪


「キモノ」ジャケット 布地アップ図
左:どこからどう見ても着物でしょ?な「キモノ」ジャケット。日本人として、ちょっと嬉しい一品。
右:布地アップ図。フォルチュニィは生地や素材にこだわりが有り、写真の生地は織物?かと思いきや、なんと型染め!ステンシルのように型を使って、金色部分を染めているのです。
フォルチュニィは、日本の型染めにも関心があった模様。


東京都庭園美術館「ポワレとフォルチュニィ 20世紀モードを変えた男たち」 東京都庭園美術館「ポワレとフォルチュニィ 20世紀モードを変えた男たち」
お次はポワレのデザイン。
左:ポワレはそれまで当たり前のように着用されていたコルセットを使用せず、ハイウエストでゆったりときられるドレスを考案。そもそも、彼の妻が出産後、楽に衣服を着られるようにとデザインしたもの。
ナポレオンの妻を描いた絵画の中で、よく着用していたタイプのデザインで、ポワレがデザインしたおよそ100年近く前のドレスから発想したのです。
右:ドライブ用コート。かなりカッコイイ!!
ドライブ時の土埃や砂煙を避けるために考案。襟を立てて着用します。ポワレデザインは実用性重視!

東京都庭園美術館「ポワレとフォルチュニィ 20世紀モードを変えた男たち」 東京都庭園美術館「ポワレとフォルチュニィ 20世紀モードを変えた男たち」
左:本展中一番着てみたい!と思った一品。黒いシフォンのような透け感ある素材に実にいい塩梅に金色の縁取りや、人魚の尾ひれの様なドレープが入っているドレス。素敵過ぎる!華奢なシルエットで鎖骨もきれいに見えそう。今着てもぜんぜんイケます!誰か買ってください!(笑)
右:ポワレデザインのドレスをイラスト化したエレガント且つ耽美な版画。資生堂の花椿に出てきそう。ビアズリーっぽくもあり。
これらの版画、当時のおしゃれ雑誌に10枚程度挟んで販売され、広告であると同時に、おしゃれ生活の提案の役割もあったのだとか。アート作品でもあり、広告でもあり、日本の浮世絵のような存在でしょうか。にしてもウットリ…。

東京都庭園美術館「ポワレとフォルチュニィ 20世紀モードを変えた男たち」
ポワレはアーティストともコラボしています。野獣派に分類され、「色彩の魔術師」とも言われるラウル・デュフィとコラボしたテキスタイルデザインも展示。木版を用いてデザインした明快なパターンとはっきりとした色使いが眼を惹きます。カワイイ!


展示後半、ポワレとフォルチュニィが活躍する3~50年ほど前の衣装が展示されていますが、まったく彼らのものとは別物。コルセットやスカートをふぁっと膨らませるための器具を装着し、装飾過多なふりふり衣装で外へ出るのが常識であった時代。コルセット無しで表へ出るなんぞ、下着を着けずに外出するのと同等というほどの出来事。彼ら2人のデザインが、当時どれほど衝撃的であったか、想像できるようです。

またパンク・ファッションの寵児、ヴィヴィアン・ウエストウッドの作品も1点展示!モードは回帰する!?

今、この時代に私が着てもぜんぜんおかしくないようなものがあったのが嬉しくて、土砂降り雨の中、気持ちはごくごく軽く、美術館を後にしたのでしたっ♪

[ text by Art inn編集部] 

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