中国とイギリス出身の音楽家である両親を持つ、ツェ・スーメイ。自身もチェロ奏者であり、音楽や音をテーマに、ユーモアあり、哲学的要素もありな作品を作っています。2003年のベニス・ビエンナーレでルクセンブルク館に金獅子賞をもたらした、気鋭の現代美術家です。
◎会期:2009年2月7日(土)~5月10日(日)
以下、気になった作品をピックアップ。
↑東西南北/Dong Xi Nan Bei(E,W,S,N) 2006/ネオン管
「東西南北」の漢字がかたどられたネオン管が天井からぶら下がっています。
実際の方位に合わせて設置されているのだとか。東西に想い入れの有る、作家の頭の中を垣間見たよう。

視線の基準/standard eye level 2006/鉄、植物、布、蛍光テープ
眼っこを布で縛られた植物たち。どこか中国の纏足を想起させます。壁にぐるり貼り巡らされた蛍光テープは、視線の高さに貼ってあるそう。日本ではこの高さでも海外に行けば、また高さが変わる。ものを見る基準は各国、各所様々であることを暗示。

平均律クラヴィーア曲集 Das wohltemperierte Klavier 2001/ビデオ(5分)
ギブスのようなものを巻いた指で演奏されるピアノ。美しい指の形を矯正するかのごとく、ストイックにバッハの曲を奏でます。音楽を極めるのは、大変なのです。ちなみに弾いているのは作家自身。

Snowに関する1000の言葉 1000 words for snow 2008/木、鉄、スピーカー、樹脂
「Snow」とは?レコードが始まる前に、ブツッブツッと聞こえるノイズのこと。音としては存在するのに、聞か無かったことにされてしまう存在。こんな素敵な名前があったとは。驚きです!
床に彫られた17世紀のペルシャ絨毯の模様は、刻む、ということから、人間の歴史を刻むということに通じ、「Snow」のような存在にも耳を傾けてみましょう、と。

不眠症の治療 Son pour Insomniaques(Sound for Insomniacs) 2007/写真、MPプレーヤー
壁にズラリと5点並んだ、猫の顔がどアップに写された肖像写真。猫と一口にいってもそれぞれ個性が有り、気に入った猫の喉を鳴らす音を聞けば、不眠症も治るのでは?というお茶目な作品。ヘッドフォンで、実際に各猫の喉のゴロゴロ音が聞けます!

冷蔵庫/Le Frigo 2000/冷蔵庫、塗料、レタリング
扉が閉まっているときには点灯し、開けると消灯してしまう、普通とは逆の点灯ルールの冷蔵庫。
この作品はスーメイの子供の頃の記憶に繋がっています。部屋を出るとき灯りをつけたまま出て行ったら、誰もいないのに、ほんとうに付いたままでいるのだろうか。部屋そのものだって、そのまま存在しているのだろうか、自分がいるときにだけ、その姿を現しているのではないだろうか、と。
ちょっとミステリアスで不思議な想像力。子供の頃に、似たようなこと考えたりしませんでしたか?
体験型の作品もちらほらあり、楽しめました。音、音楽に、幼少の頃から慣れ親しんできたスーメイならではの着眼点。日常に存在する物事を、ちょっと違った角度から見直し、自分の感覚、体感したことを通して再構成するちょっとユーモラスで可愛らしい作品群。ほっこり、温かいものが胸に残ります。梅も咲き始めた今日この頃、水戸まで足を運んでみるのも良いでしょう。

水戸市立図書館脇にて。紅白の梅が咲いていた!ほのかに優しくいい匂い。硬めで小粒な印象の花もとても可愛らしい。小さな自然がもたらす幸せ。日本っていい国だっ。にしても紅梅ってこんなに紅かったっけ?ちょうどその時、ベンチに腰掛けているおばあちゃんと少しお話。「つぼみもとっても可愛らしいわね♪」と。そう屈託なく、通りすがりの私に微笑んでくれるあなたも可愛らしいですよ!
◎第113回 水戸の梅まつり は、2/20(金)~3/31(火)、偕楽園 及び 弘道館 にて☆
[ text by Art inn編集部]
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